各国代表 2024.02.25

19歳、146キロのLOトゥイランギが先発。フランス、イタリア戦メンバー発表。ガルチエvsメディアの戦いも続く

[ 福本美由紀 ]
19歳、146キロのLOトゥイランギが先発。フランス、イタリア戦メンバー発表。ガルチエvsメディアの戦いも続く
パワフルにプレーするLOポソロ・トゥイランギ(Getty Images)



 今週末、イタリアと対戦するフランス代表チームのメンバーが発表された(2月25日、16時キックオフ/日本時間同日24時)。
 前節のスコットランド戦から3名の変更があった。

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 この試合の後半に負傷退場したキャプテンのグレゴリー・アルドリットは、筋肉は痛めていないものの、縫合した傷口が閉じ切っておらず大事をとった。イタリア戦はスタンドから観戦する。
 アントワンヌ・デュポンが不在の今大会でキャプテンに任命されていたアルドリットが不在となったことで、イタリア戦はFLシャルル・オリヴォンがチームの先頭に立つ。

 スコットランド戦でもアルドリットに代わってNO8に入っていたフランソワ・クロスが、そのまま背番号『8』をつける。フィニッシャー(リザーブ)だったポール・ブドゥアンがワールドカップ(以下、W杯)のウルグアイ戦に続いて4度目の先発出場となり、フィニッシャーにはエステバン・アバディー(26歳)が初めて選出された。

 アバディーは12歳の時にラシン92でラグビーを始め、2018年にプロデビューを果たす。19分プレーしたが、それ以来試合出場機会を得られず、翌年ブリーヴに移籍した。
 2021年10月に頚椎骨折から復帰し、主力に定着。出場を重ね、今季移籍したトゥーロンでも素早くチームにフィットした。開幕から出場し続け、昨年11月12日まで50試合連続でトップ14に出場した。

 ブリーヴでも時代から彼のパフォーマンスは評価されていた。トゥーロンへの移籍後、代表選出への期待がさらに高まった。ラインアウトに強く、タックルも上手い。持久力もある。
 またオリヴォンのように、走ってパスを繋ぐこともできるコンプリートなバックローだ。

 先のアイルランド戦、スコットランド戦で後半に出場して注目を浴びたLOポソロ・トゥイランギ(19歳)は、イタリア戦ではスターターに選ばれた。

 自称146キロ、フランス協会によれば149キロの巨体で動き続け、敵にダメージを与える。
「びっくりしたのは強度の高さ。これまで経験してきたものとは違う。80パーセント、もしくはそれ以上の時間スプリントし続けなきゃいけないし、コリジョンももっとハード。僕は大好きだけどね。いちばんの違いは精度の高さ。相手の選手は経験豊富で、いつ、何をするべきなのかを正確に判断できる」というのが、トゥイランギの出場した2試合の感想だ。

 フィニッシャーには、ふくらはぎの傷口が感染を起こして離脱していたロマン・タオフィフェヌアが復帰した。

France Rugbyの『X』より

 前節のスコットランド戦を「完璧で素晴らしい内容」と評したファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)のコメントが批判を浴びている。それ以前からもメディアからは批判されていた。

 Netflixで公開されている『Six Nations : Full Contact』の最後のシーンでガルチエHCに「あなたにとってラグビーは科学、芸術、哲学?」と問いかけている。それに対して「素晴らしい、素晴らしい質問だ。おそらくラグビーとはそれらの全てだろう」と答えるのだが、まさにそういうところが問題視されているのだ。

 記者からの質問に対する彼の言葉は学術的で哲学的で、時にはスピリチュアルで、抽象的になり、聞いている人間を煙に巻く。
 取材社にとっては限られた記者会見の時間だ。ガルチエHCは長々と応えるが、質問に対する答えが見当たらない。W杯前から「勝っているから許されるが」という声が現地の記者の間で聞こえていた。

 W杯の準々決勝敗退後も、記者たちから再三要求してようやく総括の会見に取り付けた。
 さらに、「この試合の分析データによると我々の得点期待値は37点だった(実際には28得点)。データで、しかも南アフリカ相手に37点取ることが可能だったと出ているということは攻撃面での戦術は間違っていなかったということだ」と繰り返すだけで、具体的な敗因分析や反省点が示されず、「過ちを認めていない」とラグビー界からも批判の声が出始めた。

 昨夜のメンバー発表会見で最初に投げかけられたのが、ガルチエHCのコミュニケーションに対する批判についてどう思うかという質問だった。

「いいことも悪いことも聞こえている。私たちはライトに照らされており、言うこと、することすべてがコメントの対象になる。良いコメントの時もあれば、悪いときもある。誰もが自身の言葉の責任を持っている。言葉には意味があり、とても大切だ。ポジティブに使われる時もあれば、ネガティブな時もある。私の試合に対するコメントや質問に対する応答、それらの表現方法については、質問を理解してビジョンや客観性を与えられるように、私はできる限りのことをしている。誰に対して話しているのか気をつけている」とガルチエHCは答え始めた。

「W杯の準々決勝敗退に続くアイルランド戦の厳しい敗戦でチームは苦しい時を過ごしていた。スコットランド戦の前は再び本質にフォーカスした。選手と選手の心だ。(中略)雨が降り、しかもスコットランドで世界屈指のチームを相手に、こちらはアイルランドに敗れてチームを再起させなければならない状態で、とても難しい試合だった」

「69分リードされていた。すでにキャプテンを失っていた(アルドリットが負傷退場)。選手交代をおこない、若くて経験のない選手が多く入っていた。その状況で逆転した。エネルギーを感じた。再起しかけていると感じた。これからのプロジェクトに向けて自己を超越してゆく力を感じた。その時、とてつもないエネルギーがチームに満ちていた。データや戦術とはかけ離れた状態だった。ラグビーバリューの最も深いところに我々はいる。(中略)最も素晴らしいことであり、ラグビーの基本だ。困難な時も目を背けず、背を丸め小さくなりはしたが、頭を上げて堂々といる。それがエジンバラで見せたフランスチームだ」

 10分近く(レキップ紙によると8分43秒)、ガルチエHCは話し続けた。記者会見の時間は20分しかない。「涙声になっていた」と報じるメディアもあれば、「独り言」と伝えるメディアもある。

 これまでシックスネーションズの現地放送局である『フランス・テレヴィジョン』は合宿所内やロッカールームにも入って密着取材を許可されていたが、今大会からはフランス協会指定のカメラマンが撮影した映像が提供されることになった。
 昨年に続いて今年も撮影しているNetflixに対しても同様の措置をとっている。外部に出す情報をコントロールするためと言われている。

 ガルチエvsメディアの戦いも繰り広げられている。


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