国内 2024.02.25

大きさより、自分の強みをいちばん出せる体が大事。松永貫汰(コベルコ神戸スティーラーズ)

[ 編集部 ]
大きさより、自分の強みをいちばん出せる体が大事。松永貫汰(コベルコ神戸スティーラーズ)
切れ味鋭いステップが武器。中野中(大阪)、大産大附、筑波大を経て2022年度にスティーラーズに加入した。(撮影/松本かおり)



 開幕からの全6戦にすべて先発。WTBで4試合、FBで2試合プレーし、プレータイムは480分ある。
 つまり今季のコベルコ神戸スティーラーズの試合で、この人の姿がなかったことはない。

 松永貫汰が今季好調だ。
 昨シーズンを通して積み上げたプレータイムをすでに大きく超えている。

 167センチ、78キロと小柄も、ラインブレイクを繰り返し、チームを前に出した。
 2月25日におこなわれるリコーブラックラムズ戦にも11番で先発する。

 静岡ブルーレヴズを30-26と破った第2節の試合では、後半33分に逆転トライを奪ってプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
 値千金の5点は、ラックサイドを抜け出したSH日和佐篤に好反応し、サポートから奪ったものだった。

 そのトライにも代表されるように、今季の松永の活躍を支えているのはハードワークだ。
 意識高く動き続けているから結果が出ている。

 好調さの要因を、「今季からヘッドコーチが新しくなり(デイヴ・レニーHC)、そのポジションでの役割が去年よりはっきりしています」と自己分析する。

「なので、自分がやるべき役割を自信持って遂行できるようになりました。また、どうやったらボールタッチを増やせるか考えながらプレーしている結果だと思います」

 ハードワークは、今季のチームの武器にもなっている。
 全員で相手より動くことで生まれるスペース。綻びを突く。松永らバックスリーがカウンターアタックを強みにできている理由のひとつだ。

「アタック時、SOやインサイドCTBのサポートをしてオプションになり続けるようにしています」
 ディフェンスでは外から内へ情報を伝える。その結果、自身が余裕を持って判断し、動けることにもつながる。

 パフォーマンスと意識の変化を評価され、2月上旬におこなわれた日本代表トレーニングスコッドの合宿にも招集された。
 エディー・ジョーンズHCがリードするセッションに触れ、ハードワークが芯にあると感じた。

 自分が注力してきたことと重なる。方向性は間違っていなかった。
 同HCの掲げる『超速』も、自分に合っている。

「(スティーラーズで)試合に出ることだけを考えた結果、選ばれました」と笑顔を見せる。
 日本代表は常に頭の中に入れてきた目標。「それに近づけて嬉しい」と素直な言葉を口にした。

 国内でも小さいと言われる体躯は、インターナショナルの舞台を目指すとなれば、さらに際立つかもしれない。
 しかし、大事なのは「自分の強みを常に出すこと」だ。

 スティーラーズでも強みを出す準備を重ねた結果、好パフォーマンスを出せるようになった。
 試行錯誤を重ねた結果見つけた、自分の生きる道だ。

 小柄な若者たちへの金言を口にする。
「小さい選手には小さいなりのスピードや俊敏性など、自分の強みがあると思います。そこにフォーカスしてほしいと思います」

 大きい人に負けないように、体重や、ウエートトレで筋肉の量を増やしたくなるだろう。
 その気持ちは分かる。しかし、「自分がいちばんいいパフォーマンスができる体重を知り、コントロールすることが大事です」と言う。

「その上で、なおかつスピードトレーニングをしたり、自分の得意なプレーができるような体作りをしていくのがいいと思います」
 自分もそうやって安定感あるプレーヤーに近づいている。

 ジョーンズ監督に「兄弟もいるよね。ふたりともスピードがあっていいよ」と話しかけられた。
 今季開幕から7連勝と好調な東芝ブレイブルーパス東京に所属する松永拓朗(FB/SO)も、存在感をアピールする試合を重ねている。
 兄弟揃って国際舞台に立てたなら、喜んでくれる人たちがたくさんいる。


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