「トップの状態で」。充実のリーチ マイケルが語った理想の「終わり」。
自ら、最後について切り出した。
35歳で日本代表84キャップのリーチ マイケルは、2月19日、所属する東芝ブレイブルーパス東京の定例会見に登壇した。参戦中のリーグワン1部が中断していた2月上旬からの約3週間を振り返る流れで、将来についても触れた。
「どんどんパフォーマンスが悪くなったり、けがしたりして引退するよりも、トップの状態で終わりたい。まだ、いつ終わるかはわかりませんが」
2019、23年に日本、フランスであったワールドカップとその前後を思い返し、こう続けた。
「(2019年に)股関節をけがした時、23年のワールドカップまで行けたら引退しようとまじめに考えていたんですけど、(その間に)調子も、数値も上がって、プレーが楽しくなって…。これからも成長したいし、成長する部分もある。トップの状態で、終わりたいです。飽きた、もうできないと思ったらまじめに(引き際のタイミングについて)考えたいですが、いまのところは調子もいいし、痛いところもない。まだまだやりたいです」
最高の自分のまま完走すると決意しながら、具体的なゴールテープの位置は定めていない。ナショナルチームでは、新たな道を切いてもいる。
この冬9年ぶり登板のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチのもと、本職のFW第3列ではなく第2列のLOで選ばれた。トップ選手にあってはなで肩とあり、8対8で組むスクラムで試練があるのだと話す。
「フィールドのなかでのLOはできると思いますが、スクラムは難しい。肩幅が…。これは、(前方の)PRが怒ります!」
6日からの2日間は、トレーニングスコッドの福岡合宿へ参加。新体制発足に先立って実施のこのキャンプでは、初日の夜に焼肉パーティーが開かれた。リーチはその折、旧知の指揮官の眼光、考察力を鑑み、周りへ助言したようだ。
「最初、エディーさんが『ガンガン飲んでいいよ』と言っていて、あ、これは絶対に嘘だと思って、(他の選手へ)『罠だと思うので、引っかからないように気を付けましょう』って。それで皆、お茶を飲んだり、コーラを飲んだり。次の日、朝6時からスタートでした」
その折のメンバーには京産大の石橋チューカ、高木城治、早大の矢崎由高といった19歳の選手が3名。リーチはしみじみという。
「僕が初めてキャップ獲った時、彼らはまだ3歳。息子と同じくらいの年ですよ。恐ろしいですよね。その人はラグビー人生を通してずっと(現役選手としての)僕を見てるんですよ?」
昨季リーグワン5位のブレイブルーパスでは、10シーズンぶりに主将を務めている。
自身の入団時より前の2009年度以来となる開幕6連勝をマークしながら、「自信を持っていいけど、まだ成長しなくてはいけない。シーズン後半に仕上がってくるチームもある」。24日、東京・秩父宮ラグビー場で昨季3位の横浜キヤノンイーグルスとぶつかる。