ポルトガルが死闘制しW杯初勝利! フィジー敗れるもBP獲得で16年ぶりに準々決勝進出
ラグビーワールドカップ2023フランス大会のプールステージ最終戦は死闘となった。
スタジアム・ド・トゥールーズで現地時間10月8日、世界ランキング8位のフィジー代表と同16位のポルトガル代表が対戦し、24-23でポルトガルが逆転勝利を収めた。2007年大会以来2度目のワールドカップ出場だったポルトガルは、この大舞台で初勝利。今大会では格上のウェールズ代表相手に健闘し、ジョージア代表と引き分け、オーストラリア代表を苦しめながらも勝つことができずにいたが、最後のチャレンジで歓喜となった。
一方、敗れたフィジーだが、7点差以内の敗戦によりボーナスポイントを獲得し、2勝2敗の総勝点11でオーストラリアと並び、直接対決で勝っていたため準々決勝進出が決まった。フィジーの8強入りは16年ぶり。ワールドカップで2度の優勝を誇るオーストラリアは、初のプールステージ敗退となった。
トップ8入りを目前としたフィジーと、初勝利を狙ったポルトガルの一戦。
前半から両チームとも果敢で激しい攻防を繰り広げ、互いに一歩も引かず、3-3で折り返しとなった。
最初のトライを挙げたのはポルトガルだった。
45分(後半5分)、味方が蹴ったやや長めのハイボールをSOジェローニモ・ポルテーラが果敢に競りに行ってスーパーキャッチし、テンポよくリサイクルしてCTBペドロ・ビッテンクールがキック、それをチェイスしたWTBハファエリ・ストルチがタックルされながらもインゴール右隅に飛び込み、トライが認められた。SHサミュエル・マルキがタッチライン近くからのコンバージョンを決め、貴重な2点を追加。
リスタート後、ポルトガルはWTBホドリゴ・マルタの好走で再びチャンスとなったが、パスが乱れ、フィジーはボールを拾ったFBシレリ・マンガラがカウンターで抜けて大きくゲインし、捕まったもののサポートがついて連続攻撃でゴールに迫り、FLレヴァニ・ボティアがピック&ゴーで突っ込みトライを奪い返した。コンバージョンも決まり、同点となった。
しかし、それから間もなく、ボティアは危険なタックルでイエローカードを提示され、フィジーは1人少なくなってしまった。
直後、敵陣深くに入ったポルトガルはラインアウトからドライビングモールでゴールに迫り、PRフランシスコ・フェルナンデスがインゴールにねじ込み、再び勝ち越した。ゴールキックも決まり、17-10となる。
追うフィジーはこの試合、8点差以上つけられボーナスポイントを獲得できず敗れれば、準々決勝には進めないという状況だった。56分、59分とゴール前で猛攻を繰り返したが、ポルトガルの堅いディフェンスに阻まれた。時計が進み、少し焦り始めたか、フィジーにエラーや反則が続くようになった。ポルトガルはピンチの場面でラインアウトスチールに成功するなど、フィジーにプレッシャーをかけ続けた。
だがフィジーは68分、再び攻め込んでゴールに迫ると、FWがパワープレーを挑み、PRメサケ・ドンゲがインゴールに突っ込み執念でトライを挙げた。コンバージョンも成功。17-17と追いついた。
その後、ディフェンスでも奮闘して流れを引き寄せたフィジーは、74分にPGで勝ち越し。76分にもショットチャンスを得ると、冷静なゴールキッカーであるSHフランク・ロマニがきっちり決めて6点リードとした。
しかし、ドラマは最後にもうひとつあった。ポルトガルも執念を見せ、試合終了間際の78分、敵陣で必死にボールをキープすると、14番のストルチが密集のブラインドサイドを突いて抜け、サポートした11番のマルタがトライ。そして、SHマルキがコンバージョンを決め、歴史的な逆転勝利となった。
ひたむきに体を張り続けてプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたポルトガルのFLニコラス・マルチンズは、「信じられない。言葉がありません。歴史的で、とても幸せです。人生で最高の瞬間だと思います」とコメント
そして、これがポルトガル代表として最後の試合だった34歳のHOマイク・タジェールは、「明日死ぬかもしれない。私にとって素晴らしい一日になるでしょう。このワールドカップを最後に引退しますが、こんな形で終えるなんて本当に信じられないことです」と喜びを表現した。そして、この歴史的な奮闘が次の世代に受け継がれていくことを願う。
一方、敗れたフィジーのCTBワイセア・ナヤザレヴ主将は、「ポルトガルに脱帽です。おめでとう。彼らは本当に良いプレーをしたと思います。我々は自分たちのプレーを実行できず、何度もボールを落とし、ミスにつけ込まれてしまいました。彼らに敬意を表し、勝利を祝福します」と相手を称えた。
8強入りの味はほろ苦かったか。それでも、タフなプールを勝ち残り、歓喜するチャンスはまだある。フィジーは準々決勝でイングランドと対戦することになった。
「自分たちのミスと課題を見つめなおし、来週に焦点を切り替えなければなりません」とナヤザレヴ主将は言う。「体制を整えて再び集中し、次のレベルに引き上げていきます」