【フランス代表】ジャリベール、10番で好調。ンタマックは「次のW杯」へ気持ち切り替える。

　フランス代表は、最後の準備試合にあたるオーストラリア戦を41-17で快勝した（8月27日）。
　スクラムは見直す必要があるが、後半途中出場した選手がチームにエネルギーを与え、80分間ペースを落とすことなく戦い切った。

　試合後の会見でファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ（以後、HC）は、「可能な限りベストな準備ができた。9月8日のワールドカップ開幕に向けて４年間思い描いてきた通りに、選手の共同生活や試合での集団的経験値を積み重ねることができた」と計画が順調に進んできたことに満足する。

　ロマン・ンタマックの負傷欠場で、この試合から10番をつけたマチュー・ジャリベールのパフォーマンスについても、「前後半通じて、非常に良いパフォーマンスだった」と高評価だ。

　この試合の後、選手は5日間のオフを与えられているが、その間も個別メニューが与えられている。
「これまでは準備モードだったが、5日後に集合する時には大会モードに入る。私たちは別の次元、新たな心理的コミットメント、新たな肉体的コミットメントに入ろうとしている。まったく新しい次元に突入する」と本番への意気込みを感じさせた。

　自国でのW杯開幕に向けて気運が高まる中、トップ14がすでに始まっている。全26節を消化するため、例年より早く開幕しW杯前に３節消化、W杯期間中は中断され、W杯決勝の翌日に再開する。まるでプレシーズンを2度行うようなものである。

　しかも代表選手はW杯後に休暇を与えられるため、再びクラブでプレーするのは12月になると言われている。トゥールーズのように代表選手が17人（フランス10人、アルゼンチン2人、イタリア、トンガ、オーストラリア、イングランド、NZ各1人）も擁するクラブにとっては厳しいシーズンだ。

　フランス代表がオーストラリアに勝利した約90分後、トゥールーズの今季の第2戦、モンペリエ戦が始まった。
　第1節のアウェーでのバイヨンヌ戦で7-26で敗れ、「今週末はベテランが責任を果たしてくれることを期待する」とコーチからのメッセージに応えるかのように、今季で現役引退を発表しているCTBソフィアンヌ・ギトゥーンヌが自ら２とライを決めた。
　ギトゥーンヌはさらに２つのトライアシストをする活躍で若いチームをリードした。

　また昨季デビューしたFLテオ・ンタマックも兄のロマンが見守る中、積極的にプレーに参加し、ランメーターは132メートルを記録し、トップ14で初トライを決めた。
　トゥールーズは全部で6本のトライをあげ、38-13でホーム初試合を勝利で終えた。

　試合中、代表から離脱したロマン・ンタマックの姿がトゥールーズのベンチに見られた。中継局である『カナル・プリュス』からマイクを向けられると、「この2週間、家族やごく親しい友人と過ごし気分転換できた。もちろん代表チームの仲間とも連絡を取り合っているし、今夜の彼らの勝利を喜んでいる」と現状を伝えた。

「木曜日（8月31日）に手術をする。これが僕のW杯だ。早く始めたくてうずうずしている。早くグラウンドに戻って来たい。でも再発させたくないから焦りはしない。9月8日の開幕からW杯に参加するためにこれまで努力して来たから悔しさはあるけど、世の中にはもっと深刻なことがいくらでもある」

　ポジティブに切り替え、すでに前を向いている。
「僕はまだ若くて、自分さえ努力をすれば、別のW杯に参加できる可能性が残されている。２か月前のトップ14の決勝では運が味方してくれたけど（77分に逆転トライを決めてチームを優勝に導いた）、今回は試練を与えられる番だった。長い間切れ目がなかったから、この機会に心身ともに休めることができるし、スタッド・トゥルーザンのチームメイトの手助けをすることもできる」

　試合中、彼の姿がスタジアムの大型ビジョンに映し出されると、歓声と拍手が湧き、「ロマン！ロマン！」とコールが起こった。
　ビジョンに映るンタマックの表情が緩む。感動している。

　ンタマックは子供の頃から、ダン・カーターに憧れている。
　カーターも2011年の自国開催のW杯で負傷のため途中で離脱したが、4年後のイングランド大会で素晴らしい活躍を見せて見事に優勝した。
　ンタマックにも同じような運命が待っていることを祈りたい。