ワールドカップ 2023.09.03

【Web版 キンちゃんのRWC2023フランス見聞録】第4回 トゥールーズ“深掘り”編

[ 木村卓二 ]
【Web版 キンちゃんのRWC2023フランス見聞録】第4回 トゥールーズ“深掘り”編
現在は東芝ブレイブルーパス東京のアンバサダー。フランス観光親善大使にも就任。©︎ Rémi Deligeon



 日本代表最多キャップ98のレジェンド、愛称「キンちゃん」こと大野均さんが、ラグビーW杯2023年大会開催国フランスの魅力ある街を紹介する本連載。第4回目の今回は、トゥールーズ編最終回。ラグビーの街を極める、トゥールーズ深掘りガイド。

◆スタッドゥ・トゥールーザンの聖地エルネスト・ワロン

 RWC2023におけるトゥールーズ会場は、市営のスタジアム・ドゥ・トゥールーズ。だが、トゥールーズのラグビー狂たちの聖地は、ここではない。フランス屈指の名門、スタッドゥ・トゥールーザンのホームスタジアム、エルネスト・ワロンがその場所だ。

フランス楕円界最高峰の興奮がここに! 赤と黒に染まるトゥールーズの聖地


 2007年大会に続き、トゥールーズをRWC2023時のベースキャンプ地に選んだジャパン。エルネスト・ワロンは、今大会期間、ジャパンのメインの練習会場となる。2017年フランス遠征の際、トンガとテストマッチを戦ったのも、このスタジアム。ジャパンにとって、フランスで最も馴染み深い競技場と言えるだろう。

 RWC期間中の代表チームの練習は原則非公開となるため、参加可能日時の事前確認必須となるが、通常はガイド付きのスタジアムツアーも開催されている
 空港からもキャピトル広場からも、約5キロ。ブラッスリーで食事を、オフィシャルショップでショッピングを、存分に楽しむことが可能だ(※土日休、営業時間は要確認)。

「トゥールーズのラグビーの聖地で、試合に向けて準備をする日本代表の選手達に、直接声援を送って、背中を押してもらえたら、嬉しいです。」(キンちゃん)

◆トゥールーズの動脈、ガロンヌ川

 トゥールーズの中心を南北に流れるガロンヌ川。「バラ色の街」を彩る赤褐色の建造物とともに、トゥールーズの景観を構成する、もう1つの大きな存在である。

 川に沿って街を歩くと、歴史と現在、トゥールーズの「顔」が見えてくる。先ず目を引くのは、1632年竣工、トゥールーズ最古の橋、ポンヌフ。学生人口の多いこの街、トゥールーズ第一大学やトゥールーズ政治学院といった、名門校のキャンパスも川沿いに位置する。中州にはW杯会場のスタジアム・ドゥ・トゥールーズがあり、川からの徒歩圏内には、イタリア出身の神学者トマス・アクィナスの遺体が安置されるジャコバン修道院や、市の中心的存在とも言うべきキャピトル広場がある。

トゥールーズ最古の橋、ポンヌフ

 航空産業都市ならでは、の光景も。大型船がガロンヌ川を行き交い、航空機の大型パーツが運ぶ様がそれ。それら大型部品の空輸は不可能、そのため、水路としてガロンヌ川が利用されているのだ。
 整備された川沿いの並木道は、雄大なガロンヌの流れと相まって、心地良い散歩道を形成している。また、ガロンヌ川から分岐するミディ運河は、登録世界遺産。こちらも、是非訪れてみたい場所のひとつだ。

世界遺産のミディ運河

「川に沿って続く並木道や、川沿いでくつろぐトゥールーズの人達を見ているだけで、リラックスできる風景が、そこにはあります。川と赤レンガの建物のコントラストも、トゥールーズならではの景色ではないでしょうか。」(キンちゃん)

ガロンヌ川の散歩道

◆川にダイブしてトライ! ウォーターラグビー!?

 ガロンヌ川の中州にあるのが、W杯会場のスタジアム・ドゥ・トゥールーズ。もちろん常設会場だが、ガロンヌ川では、2019年から好例となった、仮設会場でのイベントも行われている。水上に浮かべた仮設のフィールドでプレー、川にダイブしてトライ!その名も「ウォーターラグビー」だ。

川にダイブしてトライ!

 2019年以来、そのガロンヌ川では、恒例のラグビーイベントが開催されている。水上に浮かべた仮設のフィールドでプレー、川にダイブしてトライ! その名も「ウォーターラグビー」だ。元フランス代表キャプテンのティエリー・デュソトワールなど、錚々たる面々が豪快なダイブを披露してきた。

 毎年9月に行われてきたこのウォーターラグビー、今年は時期を早めて6月29日から4日間の開催。ここにキンちゃんも参加した。チームメイトには元フランス代表FLセルジュ・ベッツェン、対戦相手には元フランス代表キャプテンのファビアン・プルースやセドリック・エマンスらの姿も。

「レジェンドたちが名を連ねる大会に参加できて、大変光栄です。お客さんたちが楽しんでいる様子も、良く伝わってきました。街の顔の1つであるガロンヌ川で、独自のイベントが開催されるあたり、トゥールーズならではだと思います。ほとんどの選手は、プレー直前にビールを飲んだり、緩いスピードで走ったりするなど、楽しんでいる様子でしたが、ベッツェンは『ジャパンスタイルのクイックで行くぞ!』とか『もっと声出せ!』とか檄を飛ばして、本気モードでした(笑)」(キンちゃん)

ウォーターラグビー世界選抜(?)に抜擢されたキンちゃん

◆トゥールーズ×ラグビー、差が付くお土産!名工が作る高級木製ラグビーボール

 開催国フランス代表やスタッドゥ・トゥールーザンの公式グッズに加え、RWC2023関連商品も現地の軒先に並ぶ今大会。そんな中、周りと差が付くラグビー関連のお土産を探すファンも、きっといることだろう。トゥールーズには、そんな需要に合致するアイテムがある。木製家具職人ピエール・アルマンゴー(Pierre Armengaud)の手による、木製のラグビーボールだ。

アルマンゴー氏の作品の木製ボール

 フランスのラグビー関係者の間で、密かな人気を博している工芸品。元代表監督のベルナール・ラポルト、現代表FWコーチのウィリアム・セルヴァット、元代表のモルガン・パラやイマノル・アリノルドキらも作品を所持。他、元イングランド代表ジョニー・ウィルキンソンCBE、元NZ代表ダン・カーターら、フランス国境を越え、ワールドラグビー選出の世界最優秀選手賞受賞者らも愛好者のリストに名を連ねている。また、アルマンゴー氏は、テストマッチの公式トロフィーを作成するなど、フランス協会公認の職人という地位にある。

 その木製ボール、キンちゃんも所持している。
「私も2007年のワールドカップの時に、プレゼントして頂きました。滑らかな手触りと光沢、木製ならではの重量感を、是非、直接手に取って感じてください。」(キンちゃん)

ピエール・アルマンゴー氏とキンちゃん。トゥールーズの空港付近のプルマンホテル展示場にて

 トゥールーズから約70km、オード県(Aude)ベルペッシュ(Belpech)にある氏のアトリエは、事前連絡の上で見学可能。

アトリエ
住所:Le Moulin de la Jalousie 11420 Belpech
電話:04 68 60 60 95
https://lesballonsderugbyenbois.com
https://twitter.com/pierrearmengaud

「日本から、大勢のファンの方々がトゥールーズを訪れて欲しいと思います。是非、皆さんの声援で、日本代表の背中を押してください」(キンちゃん)。
 ラグビーの街での観戦と観光。このW杯、是非トゥールーズを訪れたい。

トゥールーズの街が待っています。© Rémi Deligeon

◎泊まるなら…【トゥールーズ おススメのホテル】
Hôtel Villa du Taur(4つ星ホテル)
62 rue du Taur 31000 Toulouse
https://www.villadutaur.com/fr
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https://www.instagram.com/villadutaur

Le Grand Hôtel de l’Opéra à Toulouse(4つ星ホテル)
1 Place du Capitole 31000 Toulouse
https://www.grand-hotel-opera.com/fr
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https://www.instagram.com/grandhoteldelopera

◆RWC2023トゥールーズ会場開催試合
9月10日 ジャパン×チリ
9月15日 ニュージーランド×ナミビア
9月23日 ジョージア×ポルトガル
9月28日 ジャパン×サモア
10月8日 フィジー×ポルトガル

◆取材協力
フランス観光開発機構 https://www.france.fr/ja
トゥールーズ観光局 https://www.toulouse-tourisme.com
オクシタニー地方観光局 https://www.tourisme-occitanie.com
東芝ブレイブルーパス東京 https://www.bravelupus.com


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