今季2勝目をつかむ。グリーンロケッツ東葛・尾又寛汰、「完璧なタイミング」で殊勲のトライ
息の合ったプレーで試合を決めた。
2月26日、秩父宮ラグビー場でおこなわれたリーグワン、ディビジョン1の試合でNECグリーンロケッツが三菱重工相模原ダイナボアーズに勝った。
スコアは33-26。後半40分、WTB尾又寛汰が決勝トライを奪った。
「あそこは狙っていました」と殊勲の5点を刻んだ男が言う。
自分の前にスペースがあった。ラックから出てきたパスを受けたFBレメキ ロマノ ラヴァに、そのことを知らせた。
レメキがキックしたボールを追って、つかみ、インゴールに置いた。
「マノさんに、(防御のウラがあいている)コールを出しました。(自分も)トップスピードで(チェイスに)出られたので、トライを取れると思いました。完璧なタイミングでした」
後半9分に挙げたものに続く、自身この日2つめのトライだった。
僅差のまま時間が進んだ好ゲーム。
残り15分で21-26とリードされたところから追いつき(後半34分)、最後に逆転できた。
高めてきた運動量のお陰で最後まで動き続けられた。
「フィットネスには自信があります。それを(勝利という)形として出せて嬉しいですね」
今季の初戦、花園近鉄ライナーズとの一戦で挙げた勝利に続くシーズン2勝目。
接戦を制した試合内容は、チームにとって自信になる。
盛り上がるチームの雰囲気を伝える尾又は、昨季までディビジョン2の三重ホンダヒートに所属していた。
新天地の空気を、「ポジティブな選手が多く、明るい」と伝える。
負けが込んでも誰も下を向かない。「次、行こう」の声が飛ぶという。
「(陽気な)アイランダーが多いこともあると思います」
自身も「1年目とは思えないほど溶け込ませてもらっている」と、その空気を受け入れている。
5シーズンプレーしたヒートからの移籍を決めたのは、プロとして勝負したかったからだ。
三重ではその環境が整わず、声をかけてくれたグリーンロケッツに活躍の場を移した。
チームとして勝利を目指すことを大前提としつつ、「(1年目の選手として自分を)アピールしないといけない立場」との思いを胸にプレーしている。
自分の活躍がチームの成績に直結することが理想だ。
チームは前週のトヨタヴェルブリッツ戦でも好パフォーマンスを見せた。
その試合では18-21と敗れるも、残り6分まで18-14とリードしていた。
ノンメンバーの選手たちの頑張りに感謝の気持ちを表す。
「うちのチームでは(控えチームのことを)エンジニアと呼んでいます。彼らからのプレッシャーが強く、実は、今週の練習はあまり良くなかった(Aチームの出来はあまり良くなかった)。ただ、そのお陰で、きょうの試合も相手のプレッシャーを感じることなくやれました」
我慢比べで勝てた、と言う。
「お互いにハイパントを蹴り、チェイスしていました。三菱の時間もあったし、自分たちの時間もあった。その自分たちの中でトライを取り切れたから勝てた」
チームには、レメキ主将やSH田中史朗など、ウイニングカルチャーを知っている選手たちがいて、練習の中で本気で怒り、褒めてくれる。
妥協なく勝負と向き合うその姿勢に、みんながついていく。
それに加え、主将自らオフ・フィールドでの親睦を大事にするから絆は深まる。
プロフェッショナルとしての人生を歩み出して、尾又自身、「プレーに対する責任が増した」と自覚している。
「厳しさも感じていますが、そういう中に身を置きたかった。僕はラグビー大好きなので、いまの環境は向いていると思っています」
体のケアやメンテナンスにあてられる時間も増えた。
今季はここまで、(全8試合中)6試合に出場して4トライ。レギュラーシーズンの残り7試合でさらにトライを重ね、チームの勝利に貢献したい。
ディビジョン1での連戦をタフに感じている。
しかし、「きょうは勝ったことを喜んで、それから、次の試合への準備をしたい」と言う明るさは、優れた対応力の一部。
愉快な仲間たちとともに前へ進み続ける。