セバスチャン・シャバル氏にW杯チケット不正入手疑惑。
「ラグビーワールドカップ #france2023 の試合のチケットを安く売ります。DMで連絡ください」
元フランス代表FLセバスチャン・シャバル氏がインスタグラムのストーリーに投稿した。
国家金融検察庁によるラグビーワールドカップ(以下、W杯)組織委員会のオフィスでの調査で、W杯のチケットが不正に売られていたことが判明した。
1月6日夜、『パリジャン』紙が報道した。
昨年10月に組織委員会CEOを解任されたクロード・アチェ氏の不正行為に関する国家検察庁の調査は現在も続いている。
不正に売られたチケットのうち、約100枚は本大会アンバサダーであるシャバル氏の手に渡った。
独特の風貌で知名度も高く、活動範囲もラグビーの枠を越えるシャバル氏のこの報道は、たちまちフランスメディアを賑わした。
その状況を皮肉って、ユーモアを交えて自身のインスタグラムで発信したつもりだったのだろう。しかし、残念ながら判断を誤ったようだ。
自国でのW杯を観戦しようと、PC、スマホ、タブレットの前で何時間も待ち、何度もチャレンジを繰り返し、それでもチケットを入手することができなかった多くの人たちがいる。
投稿前に、そのことを思っただろうか?
シャバル氏はAFP通信社へのインタビューの内容も、自身のインスタグラムに投稿している。
「France2023のアンバサダーという特権を利用して、(組織委員会のスタッフは1人8枚までと制限があるところ)制限枚数を超えるチケットを購入した。アンバサダーの仕事はボランティアでしている。フランスがワールドカップ開催国に選ばれる前から、このポストで収入を得るなんて問題外だった。今の仕事で十分な収入を得ている」
「今も自分が恵まれた立場だということは自覚している。私の周りにいるラグビーファンから毎日のようにどうしたらチケットが入手できるかと電話がかかってくる。そのうちの数十人に喜んでもらえると思った」
「思っていた以上にチケットを入手することができたが、無償でもなく、優待価格でもない。またこのチケットを利用して利益を得るつもりもない。家族や身近な人々にプレゼントする。私からチケットを受け取った人から転売されることもない。事業運営に使われることもない」
このチケットで利益を得るつもりはないことは信じられる。
しかし、「ボランティアだからと許されるなら、ラグビースクールのコーチもボランティアだ。しかし、多くのラグビースクールがチケットを入手できず、クラブハウスのテレビで観戦することになる」と『ミディ・オランピック』紙が指摘する。
パリジャン紙の報道の翌日に出演したトップ14の中継局であるカナル・プリュスのラグビー番組内で、シャバル氏は釈明する。
「France 2023のアンバサダーという立場上、組織委員会の幹部と話すことができた。…購入できる枚数に制限があることを知らなかった。家族や友人、身近な人々のためにチケットを100枚くらい買うことができるかと尋ねたら受け入れられた」
「友人たちに喜んでもらいたかった。…仕事で十分な収入を得ており、数千ユーロを儲けるためにしたのではない。手に入れたチケットは正規の価格で買った。人々がショックを受けるのも、怒るのもわかるが、そんなにたいしたことではないと思っている」
試合やラグビー界でのニュースについてコメントするのがこの番組での彼の役割だ。
そのコメント同様に軽かったこの釈明に、批判的な意見が見られた。彼が批判されているのは法的な問題ではなく道徳的な問題だ。
法的な疑いがあるのは、約600枚のチケットを入手していたアンリ・ミオック氏である。
かつてベジエでプレーしていた元ラグビー選手で、昨年10月に組織委員会CEOを解任されたクロード・アチェ氏の古くからの友人だ。
ミオック氏は息子とイベント会社を共同経営しており、ホスピタリティー付きのラグビー観戦パッケージを販売している。
600枚という枚数からも、家族や友人を喜ばせるために入手したとは考えにくいだろう。
アチェ氏の後任で組織委員会CEOに着任したジャック・リヴォアル氏は、『シュッド・ラディオ』で、
「解任された前CEOのもとでおこなわれたことで、こういうチケット販売をしていたことを最近知らされた。ラグビーをネガティブに扱う話題にうんざりしていて、早く新しい話題に移りたいというのが本音」と述べた。
「昨年末にはサッカーのW杯があり、スポーツの大きなイベントで感動を得ました。2023年は私たちの年、15年ぶりに自国でラグビーのW杯を開催できる特別なチャンスに恵まれている年なのです。ポジティブな話題はたくさんあります」