国内 2022.11.05

埼玉WK 30-55 レッズ。リーグワン防衛王者は敗れても「強い」。強豪のマインドと修正能力見せる

[ 編集部 ]
埼玉WK 30-55 レッズ。リーグワン防衛王者は敗れても「強い」。強豪のマインドと修正能力見せる
2トライを挙げた WTB竹山晃暉。後方ではSOでフル出場の山沢京平が次のアタックのタクトを振る(撮影:松本かおり)

 リーグワン初代王者のホーム・熊谷は、リーグ本番さながらの演出でにぎわった。11月4日、熊谷ラグビー場でプレシーズンマッチがおこなわれ、埼玉パナソニックワイルドナイツがクインズランドレッズ(オーストラリア)を迎え対戦した。試合は55-30でレッズが勝利を収めた。

CTB長田智希は「まずは自分の役割を」。後半は冷静に周囲とリンクした(撮影:松本かおり)
長田と同い年でチームでは先輩、NO8福井翔大。試合後は「悔しい。勝てた試合」と負けん気全開(撮影:松本かおり)

 前半に45-6と大差をつけたレッズは、NO8ハリー・ウィルソンらキャップ持ち選手たちに、多くの若手選手が交じった陣容だった。10月半ばにおこなわれた「レッズ・ディベロップメント」の強化試合に出場していた若手選手は先発15人中9人を占めた。

 しかし、開始から主導権を握ったのはレッズ。フィジカルの強さを前面に押し出し、開始直後から前半だけで7トライのラッシュ。ハーフタイムには6-45まで差が開いた。

 試合後、埼玉WKの指揮官、ロビー・ディーンズの口から出たのは意外な言葉。

「私たちにとっていい結果になった」

 それは、シーズンを前にして、主に選手個々の課題が明確になったことを指している。

 ゲームキャプテンを務めたHO堀江翔太も、大量失点の要因とリーグワン開幕への課題を個人に求めた。

「後半はやりたいラグビーができた。ボールを動かせば通用するなと。チームとして戦術、戦略はいいものを持っていて、きょうは個々がそこに頼った。個人がまず体を当てていかなかれば。上げるところを、しっかり上げていかないと、チームプレーが生きない」(堀江)

 後半のスコアは埼玉WK 24-10 レッズ(奪トライ4本、被トライ2本)、前半に取られたトライシーンでは、レッズが徹底してその強みをぶつけにきた。そこで後手に回り、次々とインゴールに踏み込まれた。起点は中盤で起きるタックルと、そこからの密集。体を激しく当てあう攻防だ。

 レッズのブラッド・ソーン監督は戦前の準備について「ワイルドナイツは強いチームとリスペクトしている。この1か月、ハードな準備を続けてきた」と振り返る。開始からフィジカリティ全開で体を当てにきた。そこでたまらずホームチームの反則が起きる。レッズはペナルティキックで陣地を進め、ラインアウトからモールでトライをもぎ取るパターンを迷いなく繰り返した。埼玉KWは、スペースのある状況での1対1のタックルミスも目についた。

 日本一チームの意地は後半に垣間見えた。

 光ったのは、80分を通して初めて司令塔の位置でプレーした若手、SO山沢京平。特に後半は、キック合戦然り、飛び出してくるレッズディフェンスの背後を突く足技も然り。時間が経つごとコンタクトに積極的になった味方FWの勢いを駆って、BKのラインでも好リードをみせ、アタックに圧力を生み出した。自らも2トライを挙げ、仕掛けに締めにと、持ち味を発揮した。

 相手が強みを出し勢いに乗る序盤から、巻き返しの後半へ。

「若いメンバーも多い中、こういう展開になった時にどう対応するのか、チームにとっていい経験になった」(堀江ゲームキャプテン)

 対照的な前半と後半のスコアには、チャンピオンチームのレッスンのあとが表れている。そして、日本代表メンバーを欠きながらも見せた修正能力の高さも。

 野武士軍団は今季も手強い。

◉埼玉WKメンバー
FW
ダニエル・ペレズ、堀江翔太、平野翔平、マーク・アボット、エセイ・ハアンガナ、長谷川崚太、ラクラン・ボーシェー、福井翔大
HB
内田啓介、山沢京平
TB
セミシ・トゥポウ、ヴィンス・アソ、長田智希、竹山晃暉
FB
川崎清純

リザーブ(全員が交代出場)
下釜優次、床田裕亮、藤井大喜、リアム・ミッチェル、大西樹、小山大輝、笹倉康誉、梶伊織

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