ブレイブルーパス、2年目の発想ジャンプ。『世界有数のユニークなクラブへ』インタビュー①荒岡義和 [東芝ブレイブルーパス東京・代表取締役社長]
「涙が出てきた」
準決勝でサントリーに敗れた2022年5月21日、花園ラグビー場から東京へ戻る新幹線で、代表取締役社長はただただ悔しくてつい泣いた。6点差だった。後半20分にトライ&ゴールで逆転され、そこから勝負をひっくり返すことはできなかった。
何が違うんだ?
はじめは問う調子だったのが、呟きになり、自らを叱る気持ちになってきた。
まったく違うじゃないか。1年前のお前に、本当に日本一になる覚悟はあったか。トップがその体で、頂点に届くチームができるはずがないだろう。
荒岡社長は車中激しく揺さぶられた感情と思考の過程を、平易に整理して、その日のうちにチームの仲間、部下に共有した。社長のひとり決起会@新幹線の最後に決意が生まれた。「俺たちは、世界有数のユニークなチームになる」。東芝ブレイブルーパス東京、リーグワン2022-23のコンセプトはその時に決まった。
◎
――荒岡社長の思い入れの強さが、はたから拝見していても、この1年間で大きく変わって見えます。
「正直、会社の人事でここへ来るまで、ラグビーの試合をしっかり観た経験は数えるほどでした。かつて薫田さん(現GM)が監督として率いていた強い時代の東芝は見聞きして知っていましたが、社長となる前に印象深いトップリーグの試合というのは、ボーデン・バレットが活躍するサントリーのうまさ、強さ…。そんなライトな見方でした」
――チームの一員として見るラグビーは別物に。
「そうですね。これは感情移入です。自分達の会社の選手たちが練習や、トレーニングや、ミーティングを日々、続けて喜怒哀楽を重ねているのを見ていますよね。すると、まさに、身内が試合をしている気持ちになる。興奮してくる。体に力が入って、タックルしてもされても、ぐっとくる。もう試合が終わると、ぐっ…たりです。そこに勝ち負けの感情が入ってくるので、もう、感性が丸裸にされるといいますか…」
「なぜなんだろう。ラグビーは他のスポーツとどう違うのだろうと考えたのですが。自分なりの答えは、ラグビーって武道にも似ているなと。たとえば大相撲にある形式美。あれは目に見える形で、一つのものを大切していることを表現し、伝承しています。ラグビーにおいてはそれがマインドで、精神性で表されている。みんなが共通の、軸を持って競っているように思えるのです」
「たとえば競技の中で、互いがヒートアップして小競り合いが起きる。でも、お互いが体や心を壊し合うところまでは踏み込まない。場を壊さない。あれだけ激しくやり合いながらも、みんなで何かを守っているようにも見える。大きく言うと、ルールを守ること。そして試合で起きたことが、後に尾を引かない。これは、ちょっと得難いじゃないですか。情熱、仲間意識、献身、激しさ、節度、いや矜持なのかな…。身内がその中で生きているのを見たら、多くの人は強く思い入れを持つと思います」
――そんな彼らに、「プレーオフで感じたこと」と言うのは?