ブレイブルーパス、2年目の発想ジャンプ。『世界有数のユニークなクラブへ』インタビュー①荒岡義和 [東芝ブレイブルーパス東京・代表取締役社長]
「そうなんです。チャンピオンシップに対する執念の差です。サントリー(東京サンゴリアス)の選手たちには、とにかく勝つんだというマインドがうかがえました。うちの選手が少しおとなしく見えるほどでした。どんな状況でも勝利を掴む 気が出ていた。それはどこからくるか。彼らと自分たちの、スタンダードの違いではないかと。彼らは今、だけではなく、今年だけでもなく、もう何年もずっ…と優勝を目指して戦っているんですね。我々はどうか。正直に言って、シーズン前から優勝を狙っていた選手は多数派ではないでしょう。私自身、優勝という文字が現実的なものとして頭に浮かんだのはシーズンに入ってからです。まして単年の優勝でなく、常勝を基準に置いているチームと比べたら…。練習の意識、日々の意思決定、もうすべての基準が、スタンダードが違ってくるのでしょう」
――2シーズン目のブレイブルーパスに何を求めますか。
「これは選手、運営、ともに言えることです。自分の頭で考えること。始まりは何かの真似であっても、走らせてみて、もっといい方法がないかを考えてブラッシュアップする。壁に感じていることも、発想や工夫でジャンプできるかもしれない」
「もう一つは、先ほどのスタンダードについて。まずはフロント側(運営、経営)の発想についてですが、他チームや他競技と競合することを考えても限界がある。ここは本格的なエンターテインメントにヒントを求めていくべきじゃないかと。たとえば、オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)であり、Netflixに学びを得ることはないか。ああ、あの場に足を運びたい、行ってみたい、体験してみたいと思わせるには? つまり、現場もフロントも、目標のカテゴリーを上げなければまた限界が来る。全体として、『世界有数のユニークなクラブになる』と決めました」
――どんなアイデアが生まれそうですか。
「今度またチームとして会見を開く予定です(9月12日)。その時にある程度、まとめてお伝えしようと思います。日本ラグビーの国内リーグはイングランドの『プレミアシップ』、フランスの『TOP14』の対抗馬になりうるポテンシャルがあると思っています。それは地理的なもの、経済的なものを考えた上での見立てです。今、リーグワンはその助走の時期にある。いくつかの好条件がある他に、ならではの要素を加えるとしたら、それはアジアです。日本はアジアを象徴するリーグになり得る。欧州、南半球に次ぐラグビーの第三極になれる可能性を秘めています」
――スケールの大きな話です。
「まずは認知度です。開幕時の話題性、お客さんの様子などなどをみていると、リーグワンは、もしも感染の不安や混乱が世の中になかったとしても、観客数はそれほど多くはなかったと踏んでいます。これは体感です。リーグワンとして何かやってくれるのを待つよりも、自分たち一クラブ、一チームがアクションを起こさないと。ブレイブルーパスはその旗振り役になるつもりで、売り込んでいきます」
――荒岡社長は営業マンでした。資本については100%東芝のままですか。
「資本は当面このままの予定ですが、究極的には、ブレイブルーパスという企業に価値を感じて投資をしてくださる方が出てくるような会社に、ぜひなりたいですね。今、パートナー企業は50社ほどあり、広告を出していただくという関係性がメインになります」
――12日の会見が楽しみです。
「今お伝えできないのが、残念です」