日本代表 2022.06.11

日本代表入りを目指す男たちと、トンガの誇り高き勇者たち。それぞれの思いを胸に熱闘。

[ 編集部 ]
日本代表入りを目指す男たちと、トンガの誇り高き勇者たち。それぞれの思いを胸に熱闘。
トンガサムライフィフティーン(赤)とエマージング ブロッサムズの熱闘(撮影:松本かおり)


 日本代表入りを目指すナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)のメンバーで編成された「エマージング ブロッサムズ」が、6月11日、東京・秩父宮ラグビー場でトンガサムライフィフティーンと対戦し、31-12で勝った。

 この試合は、今年1月に発生したトンガ北部海底火山の大規模な噴火によって甚大な被害を受けたトンガ王国に対し、被災者救援や復興支援を目的としたチャリティーマッチ。

 しかし、エマージング ブロッサムズにとっては貴重なアピールの場でもあった。
「自分たちは何のために戦うのか。チャリティーマッチではあるが、自分たちの存在意義は何なのか。ということを選手たちとしっかり話してきました。あくまで、我々が目指すのは日本代表であって、日本代表になったその先には、ワールドカップに勝つ、という道しるべがある。そのプロセスのなかでのNDSなので、常に挑戦し続けるということを選手と一週間話してきました。そういう意味では、選手たちはみんないいチャレンジをしてくれたと思います」
 チームを指揮した堀川隆延ヘッドコーチはそう振り返る。

トンガサムライフィフティーンは日本への感謝も込めて特別な“シピタウ”を披露(撮影:松本かおり)

 エマージング ブロッサムズは前半8分、敵陣深くに入って連続攻撃でアドバンテージを得ると、キャプテンのSO田村優がLOヴィンピー・ファンデルヴァルトとの連係でディフェンスを抜け、ゴールに持ち込み先制した。

 一方、日本のクラブチームに所属するトンガ出身者やトンガにルーツを持つ選手などで編成されたトンガサムライフィフティーンは、22分、NO8ナエアタ ルイの力強い走りで敵陣22メートルラインに迫り、フェイズを重ねてLOエセイ・ハアンガナが抜け、得点。チームを活気づけた。

 しかし、エマージング ブロッサムズは26分、キックを使って敵陣深くでプレッシャーをかけると、インゴールに入っていた相手SH岡新之助タフォキタウがパスアウトしようとしたところ、SH茂野海人が飛び込んでボールを押さえ、トライが認められた。
 36分にも敵陣深くに入ってラインアウトから攻め、モールから持ち出したHO堀越康介がトライゲッターとなった。

 17-7で前半を終え、テンポアップを修正課題としたエマージング ブロッサムズは、後半早々にも攻め込み、中央からすばやく右へボールを動かし、WTB竹山晃暉が5点を追加。SO田村のコンバージョンも決まりリードを広げた。

 対するトンガサムライフィフティーンは、日本代表キャップ保持者でもあるキャプテンのFLバツベイ シオネや、10番をつけたレメキ ロマノ ラヴァ、PR中島イシレリなどが奮闘してチームを鼓舞した。

 しかし、エマージング ブロッサムズはディフェンスも粘り強く、接点ではフィジカルバトルに燃えたLO辻雄康がターンオーバーに成功するなどアピール。アキレス腱断裂の重傷からカムバックして日本代表復帰を目指すLOファンデルヴァルトはハードタックルを連発した。

 それでも、トンガの誇りを胸に戦った勇敢な男たちも意地を見せ、65分(後半25分)に敵陣深くに入ると、ラインアウトからボールを手にしたPRシオネ・ハラシリが体を回転させながらタックルを破ってトライを挙げた。

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