流経大31-27関東学大。劇的な今季初勝利! 開幕2連敗から「自分たちのラグビーをもう1回」と再起。
「タックルだけ!」
「ノーペナ!」
ベンチからの声に倣い、接点へはあまり絡まない。無用な反則を取られるリスクを減らし、分厚い網を敷く。
それでもエアポケットが、できた。
ロスタイム。流経大のSOとして途中出場していた荒木龍介が、パスダミーで目の前に穴をあける。直進する。最後尾で構えていた関東学大FBの川崎清純副将を引き付けると、その裏へキックを放つ。
弾道を追うのは、スピードに定評のあるFBの河野である。追いつく。ドリブル。
ポールの真下で楕円球に触れ、まもなくノーサイドを迎えた。
「強豪校はひとつのミスを突いてくることがわかった。そこまでいいディフェンスができていましたが、80分を超えてもそうできるよう意識したいです」
惜敗の芳崎がこう反省するなか、殊勲の河野が喜ぶ。
「逆転する強い気持ちをチームとして持っていました。自分が、獲りきる力を出しました」
かたや西山は、試合全体の流れを回顧する。
振り返ればこの日は、大きくパスを回す攻めで永山大地、當眞寮の両WTBがフィニッシュしていた。クライマックスの局面でも部是の「ダイナミックラグビー」を全うしたと、船頭は言う。
「シンビンが出た時はピンチでしたが、自分たちで、ワンチームで(点を)取り返そうと声をかけていました。自分たちのダイナミックラグビーができればスコアまで持って行けることは、前半から感じていました。後半ロスタイムも、信じて、アタックし続けていました」
チームは6月上旬からの約2か月間、活動を自粛した。クラスター発生のためだ。
再始動後もコンタクト練習を制限。9月26日に開幕したリーグ戦では、試合の強度へ対応するのに難儀した。西山は「ゲーム経験のところが足りない」と話したこともある。
今度の白星で、さらにギアを上げられるか。4戦目は31日。埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で昨季8位の専大とぶつかる。
「きょう、この天候のなかでもボールを動かすダイナミックラグビーができたのは収穫です。ただ、過去2戦でも出たブレイクダウン(接点へのサポート)の課題は残ったままだと思います。これからの連戦。誰が出てもいいように、ワンチームで戦いたいです」
かたや関東学大は、惜敗も手応えを掴んだか。主将の三輪は語る。
「ディフェンスで圧力をかけられるところもできたし、雨のなかにあってはいい出来でした。でも、負けています。最後に流経大さんに(点を)獲られたのは自分たちの甘さ。勝ち切れたゲームを落としたのは、悔しく思います」
次戦の日時と会場は流経大と同じだ。相手は日大。前年度3位で開幕3連勝中の重量級クラブである。三輪は「もう1回、いいところを伸ばす。もっと自分たちのラグビーで感動してもらえるように準備していければ」と、明日を見据える。