海外 2021.09.18

フランスのラグビー選手、人種差別的発言で26週間の出場停止。

[ 編集部 ]
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フランスのラグビー選手、人種差別的発言で26週間の出場停止。
人種差別的発言で厳しい処分を科されたルドビク・ハドサヴリェヴィッチ(Photo: Getty Images)


 フランスのラグビー選手であるルドビク・ハドサヴリェヴィッチが、人種差別行為で26週間の出場停止処分を科されたことが明らかになった。

 現地メディアによると、同国2部リーグ(PRO D2)のプロヴァンスに所属するハドサヴリェヴィッチが問題行動をしたのは9月3日、ホームでおこなわれたヌヴェール戦。ヌヴェールの左WTBで先発出場したカメルーン出身のクリスチャン・アンバディアングが、試合中に相手チームの選手から「バナナ・イーター(バナナを食べる奴)」と言われたと自身のソーシャルメディアで怒りを表し、のちに、発言者はハドサヴリェヴィッチだったことが判明したという。

 バナナは猿の好物とされ、他のスポーツでは悪質な観客からバナナが投げ入れられることもあり、黒人選手などを猿扱いするような差別行為だと非難されている。

 経験豊富なハーフバックで、1部リーグのクレルモンやカストルといった名門クラブでも長年プレーしたことがある32歳のハドサヴリェヴィッチは、人種差別的な発言をしたことを認め、謝罪した。

 フランスラグビーのプロリーグを運営するLNRは「特別な悪質性」を考慮し、ハドサヴリェヴィッチに対し、2022年4月25日までの出場停止を決定。懲罰委員会は処罰できる最長の52週間から処分期間を検討し、同選手はこれまで懲罰の経歴はなく、自身の罪を認識し、聞き取りの前に後悔の念を表していたことから処分期間は短縮されたものの、7か月以上もプレーが許されない厳しい処分となった。

 一方、差別された22歳のアンバディアングに対しては世界中からサポートの声があがっている。

 カメルーン出身のアンバディアングは10歳のころから父親と南アフリカで暮らすようになり、中学生のときにラグビーチームのコーチをしていた副校長から誘われ、ラグビーブーツを与えてもらい、ラグビーにのめりこんでいったという。足が速いアンバディアングはサザン・キングズのアカデミーなどで育成され、のちにウェスタン・プロヴィンス(WP)に移り、WPの19歳以下で新人賞に選ばれたあと、2018年のスーパーラグビーシーズンにはストーマーズのトレーニングスコッドに招集された。その後、キングズとプロ契約を結び、2020年にフランスに渡ってからはヌヴェールに在籍している。身長189センチ、体重107キロと体格に恵まれた若き快速WTBで、今シーズンのPRO D2では開幕戦から背番号11をつけており、成長が期待されている。

▼インスタグラムで人種差別反対を訴えたクリスチャン・アンバディアング

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