各国代表 2021.07.20

いよいよB&Iライオンズと世界王者スプリングボクスが激突。2021年ラグビー界最大の大一番を見逃すな!【B&Iライオンズ南アフリカツアー J SPORTSで全試合配信】

7月3日より始まった『ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(B&Iライオンズ)』の南アフリカツアーは17日までに全8試合中5試合を終了し、残すは24日(土)から3週連続で行われる南アフリカ代表『スプリングボクス』とのテストマッチ3戦となった。新型コロナウイルスの影響で試合直前に登録メンバーの大幅変更を余儀なくされたり、対戦相手が当初の予定から変わったりと、数々の困難に見舞われた今回のライオンズツアーだが、2013年のオーストラリア遠征、2017年のニュージーランド遠征に続いて指揮を執る名将ウォーレン・ガットランド監督のもと、チームは着実にステップを重ね進歩を続けている。2019年のラグビーワールドカップ日本大会で頂点に立った世界王者・スプリングボクスと北半球のドリームチームが激突する、全世界注目のテストシリーズ。勝負の行方は果たして。

[ 編集部 ]
いよいよB&Iライオンズと世界王者スプリングボクスが激突。2021年ラグビー界最大の大一番を見逃すな!【B&Iライオンズ南アフリカツアー J SPORTSで全試合配信】
7月14日に行われたB&Iライオンズのツアー第4戦は17−14で南アフリカAが勝利。突破を図るB&IライオンズSHコナー・マリー(Photo: Getty Images)

南アフリカAとの前哨戦はお互いに収穫多し。思わぬ場外戦も

新型コロナウイルス感染対策のためさまざまな制約を受ける中でチーム強化を進めてきた今回のB&Iライオンズにとって、テストマッチ前の最大の難関となったのは7月14日の南アフリカA戦だ。もともと南アフリカチームは46人の代表スコッドの中からこの試合の出場メンバーを選ぶ意向を表明していたが、数少ない実戦機会になるはずだった7月9日のジョージアとのテストマッチがコロナの影響でキャンセルになったこともあって、FLピーター=ステフ・デュトイやSHファフ・デクラーク、WTBチェズリン・コルビら実に16人もの2019年ワールドカップ優勝メンバーを起用。“A”と呼ぶには豪華すぎる布陣で前哨戦を行った。

『第4のテストマッチ』ともいわれたこの試合では、南アフリカAが2019年ワールドカップを彷彿させる力強い攻守でプレッシャーをかけ、前半17-3と大きくリードを奪う。しかしB&Iライオンズも規律の乱れで相手に2人の一時退場者が出たところから流れを引き寄せ、後半3分のPRウィン・ジョーンズ(ウエールズ)のトライと同10分のSOオーウェン・ファレル(イングランド)のPGで4点差に。その後はスコアが動かず17-13でフルタイムを迎えたが、南アフリカ、B&Iライオンズのいずれにとっても、たくさんの収穫を手にする一戦となった。

お互いほぼテストマッチに近い顔ぶれとなった南アフリカA戦。激しいフィジカルバトルが繰り広げられた。写真はLOマロ・イトジェ(Photo: Getty Images)

B&Iライオンズにすれば、世界一と評される南アフリカの強靭なフィジカルにいかにして対抗するかがテストマッチの最大のテーマであり、相手の圧力を実際に体感したことで、よりゲームプランがクリアなったのは確かだろう。同じく重要なポイントであるスクラムでも互角以上に渡り合い、ガットランド監督は「これこそが我々の望んでいた試合だ。テストマッチに向けて、ここからの時間ですべきことが明確になった」と、敗戦にも十分な手応えを口にしている。

一方、2019年のワールドカップ以降1年8か月もの間テストマッチから遠ざかり、ゲームタイムが大きく不足している南アフリカも、この一戦で得たものは多かったはずだ。SHデクラーク 、SOモルネ・ステインのキックから看板の大型FWを前に出し、猛然と体を当てて相手の攻め手を封じるおなじみの戦法は、B&Iライオンズを前半沈黙させるほどのインパクトがあった。チームの生命線であるディフェンスのシステムも安定感があり、長く実戦から離れていた不安をまったく感じさせなかった。選手やスタッフ陣は、自分たちのスタイルが依然として世界トップレベルにあると自信を深めたのではないか。

なおこの試合から3日後の17日のゲームを巡っては、B&Iライオンズとスプリングボクスの間で興味深いやりとりがあった。スプリングボクスのディレクター・オブラグビーを務めるラシー・エラスマス(2019年ワールドカップ時の優勝監督)が、対戦相手をストーマーズから南アフリカAに変更することをB&Iライオンズ側に提案。しかしガットランド監督はただちにそれを拒否し、予定通りストーマーズとゲームを行った(結果はB&Iライオンズが49-3で勝利)。

エラスマスの主張は、「我々(南アフリカ代表)もB&Iライオンズも厳密に外部から隔離されており、南アフリカAに変更することが、新型コロナウイルスの脅威に対するもっとも安全な方法だ」というものだった。一方でその裏には、不十分なプレータイムを少しでも補い、B&Iライオンズの情報をできるかぎり収集したいという思惑も見え隠れする。B&Iライオンズ側にしてみれば2週間で5試合を戦うタイトな日程をふまえてスコッド37人のローテーションをプランニングしてきており、手の内が明らかになるリスクも考慮すれば、提案を拒むのは当然といっていい。予定外のところから急遽浮上したビッグマッチが実現することはなかったが、逆にこうした場外戦を通じて、24日の第1テストの楽しみがふくらんだのは確かだ。

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