いよいよB&Iライオンズと世界王者スプリングボクスが激突。2021年ラグビー界最大の大一番を見逃すな!【B&Iライオンズ南アフリカツアー J SPORTSで全試合配信】
7月3日より始まった『ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(B&Iライオンズ)』の南アフリカツアーは17日までに全8試合中5試合を終了し、残すは24日(土)から3週連続で行われる南アフリカ代表『スプリングボクス』とのテストマッチ3戦となった。新型コロナウイルスの影響で試合直前に登録メンバーの大幅変更を余儀なくされたり、対戦相手が当初の予定から変わったりと、数々の困難に見舞われた今回のライオンズツアーだが、2013年のオーストラリア遠征、2017年のニュージーランド遠征に続いて指揮を執る名将ウォーレン・ガットランド監督のもと、チームは着実にステップを重ね進歩を続けている。2019年のラグビーワールドカップ日本大会で頂点に立った世界王者・スプリングボクスと北半球のドリームチームが激突する、全世界注目のテストシリーズ。勝負の行方は果たして。
第3列はサイズか、仕事量か。HB団の組み合わせでゲームプランが浮かび上がる
B&Iライオンズは14日の南アフリカA戦と17日のストーマーズ戦で先発をすべて入れ替え、24日の第1テストに起用する23人のメンバーの最後の見極めを行った。現時点でセレクションの対象外となっているのは、アキレス腱を痛めたSOフィン・ラッセルひとりだけ。圧倒的なサイズとパワーを誇るスプリングボクスに対し、あくまで同じ土俵で真っ向勝負を挑むのか、それとも別の強みで仕掛けに行くのか。「選考の最終段階に入った」と語るガットランド監督の決断が注目される。
中でも話題となっているのが、FWのフロントローとバックロー、HB団の人選だ。フロントローではHOジェイミー・ジョージ(イングランド)がシャークスとの第2戦(7月10日)でゲームキャプテンを務める一方、イングランドのチームメイトのルーク・カウワン=ディッキーがストーマーズ戦でマン・オブ・ザ・マッチに選出される活躍を見せた。いずれも安定感あるセットプレーに加えフィールドプレーでも非凡な機動力とスキルを有するワールドクラスの選手で、経験では2017年のニュージーランド遠征でも3テストに出場しているジョージに分があるが、対スプリングボクス戦で焦点となるブレイクダウンのバトルに関してはカウワン=ディッキーのインパクトも大きな魅力を感じさせる。両脇を支えるPR陣との連携も含めて、重要な選択になるだろう。
バックローについては、2019年の世界最優秀選手に輝いたFLピーター=ステフ・デュトイ(200cm、119kg)を筆頭にビッグマンが並ぶスプリングボクスFWの推進力に、いかに対抗するかという点がポイントになる。ジャパン戦を含めたここまでの6戦では、タイグ・バーン(アイルランド、198cm)、コートニー・ロウズ(イングランド、201cm)とLOもできる大型選手を4試合でブラインドサイドFLに起用し、残る2試合ではジョシュ・ナヴィディ(ウエールズ、185cm)、トム・カリー(イングランド、185cm)という小柄ながらワークレートと機動力が武器の2人を両FLに配する布陣を組んだ。サイズを重視するのか、それとも仕事量にプライオリティを置くのか、試合の趨勢を左右する大きなポイントになりそうだ。
HB団はSOにケガ人が続出し心配されたが、急遽招集された22歳のマーカス・スミス(イングランド)がストーマーズ戦で好パフォーマンスを披露し、南アフリカA戦で直前になって先発を回避したダン・ビガー(ウェールズ)も順調に回復。CTBもできるオーウェン・ファレルを合わせた3人からのチョイスとなる。SHは負傷で離脱したLOアラン=ウィン・ジョーンズ(ウエールズ、現在はチームに復帰)に代わってツアー主将に指名されたコナー・マリーが本命だったが、ここにきてアリ・プライス(スコットランド)がスピーディーな球さばきと強気の仕掛けで評価を高めている。マリーならキックを軸にした堅い試合運び、プライスなら積極的にボールを動かすゲームを志向することが予想され、ゲームメイクの安定感が持ち味のビガー、大型FWを押し返すディフェンス力を誇るファレル、アタックの爆発力なら一番のスミスという3人のSOをどう組み合わせるかによって、B&Iライオンズのゲームプランの輪郭が明らかになるだろう。