国内 2021.06.18
初4強。強いクボタの「当たり前」を作った人たち(1) LO/FL今野達朗

初4強。強いクボタの「当たり前」を作った人たち(1) LO/FL今野達朗

[ 編集部 ]

今野 クボタではチームを戦艦に例えていて、メンバー外の選手達とのことをボルツと呼んでいます。巨大な船にあって、部品同士をつなぐボルト(BOLT)の役割をするという意味で。毎週、メンバーが発表されるのが月曜。その日のうちにLINEのトークグループを作って、その週のボルツのメンバーに予備知識を入れておきます。火曜、相手のラインアウトについてのプレゼンをして、チームに理解させます。

――今野さんは選手の立場にいながら、それができるように毎週、準備を進めていたわけですね。

今野 月曜にメンバーを外れたばかりの当落線上の選手たちは、少なからず落ち込んでいます。それでも、すぐに切り替えて、積極的にボルツとしての役割を果たそうとする。同じチームの選手ながら、そもそも、そこが偉いなと思います。

――今野さん自身もそうでしょう。みんなのためにできることを探している。ラインアウト一つとっても、今、チームはそういう雰囲気があるんですね。

社会人3年目で背負ったキャプテンシー

――キャリア前半は、本来のフィールドでの活躍、目覚ましかったですね。入社2年目にはオーストラリア留学。ブランビーズと報道されましたが、おもにキャンベラ・バイキングスでのプレーでした。

今野 ラグビーの捉え方、フィジカル、ウエイト・トレーニングに対する考え方、いろいろ勉強になりました。

――3年目、イーストに降格した年にキャプテンに。重要な時に、リーダーに指名されて大変でしたよね。

今野 やってほしい、と言われたら、やるしかないですよね。それにしても、あの時はチームの雰囲気が……。

――周りは先輩ばかりの中で、どんよりした雰囲気のチームをどう引っ張ろうと。

今野 プレーでがんばるしかない。先輩方も一人ひとりは協力的だし、自分が若いから苦労したとは思っていません。苦しかったのは、ただただ結果が出ないこと。練習もしんどい中で、みんな歯を食いしばってがんばっている。それでもうまく回らない。不満や不服みたいなものが出てくる。

 落ちて2年目は(’11年に続いて、’12年もトップイースト残留)、さすがにまずいぞと、みんなが必死になったことが一つ。もう一つは、トウタイ・ケフという指揮官(元クボタ所属のNO8)を得たことが大きかった。僕も1年は現役として一緒にプレーできたので、初めからチームの信頼感を得ていました。

――同時に、いちプレーヤーとしては、充実の時代ですね。

今野 楽しかったですね。取り組めば取り組むほど自分が変わっていけた。留学の経験も自分なりに考えて反映させたり。ポジションもいろいろやりました。同じ試合で3つのポジションでプレーしたこともあります。7番はしんどかったですね。ははは。

――最後のシーズンは史上最高戦績で終わりました。長くチームを見てきて、今年のスピアーズが結果を残したことには、どんな必然性があると思いますか。

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