初4強。強いクボタの「当たり前」を作った人たち(1) LO/FL今野達朗
今野 チーム文化ですよね。さっき、降格した時代のチームに触れましたけど、あの時だってみんな仲は良かったし、しんどい練習にひたむきに取り組んでました。ただ、その雰囲気が、結果によって左右されることがあった。
フラン(ルディケ:ヘッドコーチ)が来てからは、その文化が一つひとつ、言葉にで表されて、常にみんなに使われている。結果が出ていない時も、「言わなくても分かるでしょ」という時にも口にして、確認する。
チームのスローガンて、昔は人によって意識の濃い淡いがあったと思うのだけど、今は、全員が大事にしていると感じますね。
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起伏が激しく、辛い時代の方が多かった。過去10年のクボタスピアーズの足跡をあらためて振り返ればそう映る。特に、フランHCが指揮を執って以降の時期に、選手としては万全の状態では過ごせなかった今野にとってはなおさらだろう。
いつも落ち着いた笑顔で、淡々と話す今野は自らをドラマチックには語らない。チームが厳しい時代に選手としての全盛期を過ごし、思うような体調でプレーできなくなってからも、チームのためにできることを模索し、前向きに取り組んだ。選手たちにラインアウトを教える場面が増えてからは、自らトップコーチの資格も取得していた。
今のスピアーズをスピアーズたらしめているもの。それは、今野のような選手たちが繰り返した毎週毎週、一日いちにち積み重ねた模索と革新の結果だ。オレンジのジャージーを着る人々にとっての「当たり前」を作り上げた人がここにもいた。
PROFILE
こんの・たつろう/1986年11月28日生まれ、34歳。高1の時にラグビーを始める。茗溪学園ー筑波大ークボタスピアーズ(2009年度入社)。元7人制日本代表。スピアーズでは加入3年目のシーズンに主将を任された。日本ラグビー協会A級コーチ