日本でも輝いたボーデン・バレット。「サントリーサンゴリアスが大好き。後悔していない」
現代ラグビーにおいて世界最高選手のひとりと称賛されるボーデン・バレットが、サントリーサンゴリアスでのプレーを終えた。「ボーディー」という愛称で親しまれ、数日後に30歳の誕生日を迎えるスーパースターは、ニュージーランド代表のエースでもあり、母国に帰らなければならない。
ニュージーランドラグビー協会とは、ワールドカップ・フランス大会がある2023年まで契約を結んでおり、特別に充電期間としてサバティカルの条件を得て1シーズン日本でプレーすることを許されたが、来季からは復帰を約束しているブルーズに戻り、ニュージーランドに腰を据えて次のワールドカップを目指す。
ジャパンラグビートップリーグ2021では、リーグ戦7試合で6トライを含む128得点で得点王となった。プレーオフトーナメントでも大きな存在感でサントリーの決勝進出に貢献したが、最後はパナソニック ワイルドナイツに敗れ、栄冠を手にすることはできなかった。
「パナソニックはとても素晴らしいチームだった。優勝すべきチームだったと思う。ディフェンスが強く、ラインスピードも上げてくるので、サントリーとしてはコンテストするキックを使ったり、がまんをしてボールを展開していこうと思っていた。しかし、パナソニックはジャッカル(ブレイクダウンでのボール争奪)が得意な選手もたくさんいるので、ボールをずっと保持するのは難しかった。すごく疲れる試合だった」
決勝の立ち上がり、優勢にゲームを進めていたサントリーだが、前半5分、バレットのパスが相手CTBのディラン・ライリーにインターセプトされ、失点した。そのシーンについては、「逆にパスがつながっていたら自分たちのトライになっていたと思う。攻めていくことに関しては問題なかったし、相手がラインスピードを上げてくるのはわかっていた。そこは賭けたチャンスがうまくいかなかったということ。しょうがない結果だと思う」と振り返る。
最大で20点差をつけられたが、最後の最後まで逆転できると信じてプレーしたという。それはチームメイトも同じで、残り時間1分というところで5点差まで追い上げた。しかし、ノーサイドの笛が鳴って歓喜したのはパナソニックだった。
「最後をいい形で終われなかったことは残念。しかし、チームに対して新しい価値を与えられたのであればうれしいし、自分と一緒にプレーしたことを仲間たちが楽しんでくれたのであれば、本当に光栄なことだと思う」
約6か月間を日本で過ごし、心残りはあるかと訊かれ、「コロナ禍で、チームメイトと一緒に外で遊ぶことができなかったのは残念だった」と答えたバレット。「でも、サントリーサンゴリアスが大好きだし、ラグビースタイルも大好きなので、そこはいっさい後悔していない。本当にサポーターのみなさんに応援していただいて、今日までプレーできたことを感謝したい」
ボーデン・バレット。華麗なプレーをこの国でも存分に披露し、トップリーグ2021を盛り上げたスターのひとりだった。