コラム 2021.02.04

【コラム】実行と肌感覚。適応のシーズン

[ 向 風見也 ]
【コラム】実行と肌感覚。適応のシーズン
大学選手権準決勝・天理大戦後の明大の表情。ケガ人を含め、あらゆる事態に前向きに取り組んだ(撮影:髙塩 隆)

 丸ごとだめを出されているようだ。

「密だし、人と接触しますし、むしろそこが競技の魅力だと胸を張っていたところがあるので…」

◆やや暗いフィールド。11月14日、セナリオHでの第2試合は16時開始の対応に迫られた(流経大vs日大)

 画面の向こうからややかすれた声が響いたのは9月20日。大学ラグビーのシーズンが始まる約2週間前のことだ。

「余計なものがなくなった時、スポーツやラグビーは残るのかと不安になった時期もあります。本当にスポーツって、なくていいのか。なきゃ困るだろう。よりよく生きるにはスポーツは必要だ。ただ、そのスポーツをするために色んな方法を考えなきゃいけないのだと感じました。選手にも、『いままでの常識は常識じゃない』と伝えました。新たに問題を考える契機になった」

 話すのは木村季由。東海大の監督である。チームは長い活動停止を経て、7月以降から少人数でのトレーニングを再開したばかりだった。初の大学選手権制覇に向け、苦しい船出を強いられていた。

 加盟する関東大学リーグ戦1部の5連覇を決めたのは、12月5日である。

 当のチームは、芝に、いなかった。

 戦前に26人の「陽性」が伝えられ、7戦全勝のかかった最終戦を辞退していた。会場の東京の秩父宮ラグビー場ではその日、予定された2試合のうち1試合のみがおこなわれた。

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