コラム 2021.02.04
【コラム】実行と肌感覚。適応のシーズン

【コラム】実行と肌感覚。適応のシーズン

[ 向 風見也 ]

 ここでは流経大が、大東大の玉砕覚悟のタックルにミスを誘われつつ19―10と辛勝した。リーグ戦の成績は2位となった。さかのぼって11月21日、同じ会場で東海大と打ち合った末に38―55と惜敗していたのが響いた。

 何より、そのタイミングで東海大戦があったことで、その試合に出た選手はPCR検査を受けた。内山達二監督は、大東大戦後のオンライン会見で「(結果が出るまで)苦しい、2日間、3日間でした」と漏らした。

「ライバルたちは、本当に、つらい、思いをしているだろうな」

 リスタートできた東海大は12月19日、大阪は花園ラグビー場での大学選手権準々決勝に臨む。開幕前の練習試合で7―84と敗れた帝京大に、8―14と粘って終戦した。

 準々決勝は同日、秩父宮でも2試合、開かれる。(リーグ戦で)東海大と試合をするはずだったリーグ戦3位の日大が、一昨季王者の明大に衝突し続ける。

 東海大や流経大といった多くのライバル校と同じく、平時の行動範囲を制限してきた。「スポーツ日大稲城アスレティックビレッジ」内の合宿所では、常にマスクを着けた。寮の食事で腹が満たされなければ、「Uber Eats」や「出前館」のアプリを開いた。

 主将の藤村琉士は「チーム的にも世間的にも大変だったなかでキャプテンをやって。成長する機会を与えてくれた感じです」。元部員やコーチの問題が次々と報じられもした季節を経て、正直に、前向きに、冬の一戦を迎えていた。

「自分らのやっているラグビーをやることによって応援してくれる人もいるんだから、その人らのためにも頑張ろうと。持ってる技術、持ってる力は(明大にも)負けてないと思うので、名前負けはしない。向こうにいっぱいいる有名選手がいないなかでも、試合になってみたら意外とイケるやん、となると思う。その感じを最初から出したら、もしかしたら、ある」

 果たして、前半に得点機を逸しながらも後半3分のトライなどで一時7―12と粘る。7―34でノーサイドを迎え、こう締めた。

「自信を持って、やっていたと思います。(相手の攻撃に)何フェーズも重ねられても、皆、しっかり前に出てやってくれたので」

 ここで先に駒を進めた明大もまた、近隣の八幡山区域でさながら「ロックダウン」の体制を敷いてきた。

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