サクラフィフティーン、「いい感じ」。
2021年9月に開幕するワールドカップ(女子)の試合日程が発表されてから数時間後(1月29日)、和歌山で合宿中の女子15人制日本代表候補のHO小鍛治歩(Hanazono Hollyhocks)、CTB小林花奈子(日体大女子)がオンラインで取材に応じた。
香港で3月に開催される予定のアジア地区予選を突破すれば、W杯でカナダ、ヨーロッパ地区1位、アメリカの順で戦うことになった日本。しかしこの日の午前中の練習時、レスリー・マッケンジー ヘッドコーチ(以下、HC)はその件に触れなかったという。
コロナ禍で対外試合から長く離れている。まずは自分たちのスタイルの確立を。そして予選突破。チームはそこに集中している。
大学日本一になった天理大のPR、悠太の妹である小鍛治は、160センチ、80キロと堂々の体格。高校時代(大阪・アナン学園)はSOでプレーしていたが、マッケンジーHCは代表ではフロントローとして招集してきた。
持ち前の機敏さと、首脳陣が期待するパワーを併せ持つプレーヤーとしてのさらなる進化が期待されている。
兄が日本一になる試合には応援に行った。その偉業と自身が成人になったお祝いを家族でおこなった。
「ただ、兄とはラグビーの話はほとんどしないんです」
アドバイスをもらう機会はなかった。しかし、小柄も結束固い天理のスクラムは参考になる。
「低さを大事にしていると感じました。小さい体で大きい相手に勝つのは、日本が世界で戦うときにも大事なことだと思います」
自分の力をさらに高め、チームの勝利に貢献していきたい。
「(BKをやってきて)周囲をいかすのはもともと得意なので、自分でも当たって、前へ出るプレーもしたいと思っています」と上を見る。
現在は森ノ宮医療学園専門学校で鍼灸を学ぶ。20歳の秋にラグビー王国に立つため、集中する。
CTBの小林は、チームが順調に成長している実感を言葉にした。
「いい環境で、いい練習ができています。新しいシェイプに取り組んだり、細かなディテールにこだわることで、段階的にチームは強くなっていると思います」
みんなで話し合って決めた目標は、ワールドカップでの優勝だ。
「一番上を目指さないといい結果は残らない、と。そこに少しずつ近づけていると思います」
2019年11月のイタリア・スコットランド遠征で初キャップを得た。引き分け、逆転勝利と好結果を得た2試合で先発した小林は、手応えと課題を見つける。
「ディフェンスの切れ目に走り込むプレーが得意なのですが、そこには手応えがありました。ただ、フィジカルの部分が足りなかった。もっと強いタックルをしないと」
チームとしては、攻守ともに常に15人が立っている状況を目指している。
石見智翠館高校時代の猛練習により、強い体幹と忍耐力を得ている。その幹をもっと太くして、世界の舞台で暴れたい。