天理大学特集! 9年前の初決勝から変わらない色(後編)
1月11日、天理大は大学選手権決勝で早大を55-28で破り、初の日本一を成し遂げた。天理大はこれまで3度決勝に進出している。初の決勝進出は2011年だった。決勝では帝京大に12-15で敗れはしたが、立派な準優勝を果たした。功労者5人が決勝終了直後、ラグビーマガジンの取材に応じてくれた。後編ではLO上田聖、SO立川理道(当時主将、日本代表キャップ55)の2人を紹介したい。
前編(PR金光大生、WTB宮前勇規、WTB木村和也インタビュー)
ラグビーマガジン2012年3月号掲載(1月16日インタビュー)
文◎森本優子
天理大学[第48回大学選手権準優勝]
TRUE COLORS.
~それぞれの色~
もっとセットが安定できてたら。
LO⑤上田聖[鶴来/石川]
高校時代からソフトモヒカンは、FWの中ではひときわ目立つ。陽性のキャラクターでチームを盛り上げるのがLO上田聖である。
3歳上の兄が鶴来高でラグビー部だったことから、自らも同じ道へ。高校時代は3年間、アイセア・ハベア、シアオシ・ナイらのいた日本航空石川(旧日本航空第二)と花園切符を巡って戦った。
「自分が3年のとき春の大会で航空に勝って、花園に行けるかな、と思ったんですが、結局負けてしまって」
大学では、その彼らと同窓に。
「ずっとライバルだったけど、味方にしたら…頼もしすぎます(笑)」
上田がレギュラーに定着したのは、4年になった今シーズン。この3年間、様々なポジションを経験した。
「1年の夏にはWTB、2年でPRもやりました。高校時代ずっとNO8で、ここにもNO8で来たっていう気持ちがあったから、最初は”人数が足りないからWTBにいかされたのかな”ってネガティブな気持ちもありました。でも今になってみると、おかげでBKの動きやディフェンスのことが分かったし、スクラムを組んでいたら、肩回りの筋肉がついて、タックルも低くいけるようになった。いろんな経験をさせてくれたのがよかったんだと思います。何回も何回もCチームまで落とされたんですけど、そのたびに”負けとれんわ”って這いあがって」
決勝戦を終えて帰省したときの友人たちの祝福で、準優勝を実感したが、今もまだ悔しい気持ちが燻ぶる。
「BKは勝てていた。もっとFWでセットプレーが安定できていたらと思うと、BKに申し訳なくて」
就職はキヤノン。昨年、サントリーのトライアウトを受けにいったが、最終で落選。ラグビーを諦め公務員を目指していた矢先、声がかかった。
「実はキヤノンの方が見に来られる試合と、公務員試験が同じ日だったんです。元々”試験があるから休みます”と言ってたんですけど、小松監督から話を聞いて、公務員試験を諦めて試合に出ました。イチかバチかでしたけど…。よかったあ(笑)」