帝京大・奥村副将はずっと「全力」「協力」を約束。22日に明大戦
帝京大ラグビー部の奥村翔副将は、2020年のシーズンが始まる前に『ラグビーマガジン』の取材でこう宣言した。
「僕は1年生の時に優勝を経験させてもらったけど、2、3年生であまりいい結果を得られなかった。大学選手権の優勝をもう一度したい気持ちが大きいです」
京都・伏見工高出身の4年生。身長179センチ、体重83キロのサイズで切れ味鋭い走りを繰り出す。プレースキックも蹴る。
大学選手権9連覇を達成した2017年度の最上級生を「アジリティでもウェイトでも1秒、1回にこだわっていましたし、ラグビーでもトライをするまで最後までプレーし続けていた」と分析。昨季までの2シーズンは、かような丁寧さと距離が置かれていたという。
「(1年時の)4年生に任せきりにしていた。力不足のまま、僕たちが上級生になってしまった」
だからこそ今季は、「手を抜かない」という簡潔な指針を打ち出したいと強調していた。
「ひとつのことをやり切るということが曖昧で、やり切れるチームではなかった現状があって、それがラグビーにもつながっていたと思っていました。リーダーとして自分も、チーム全体も手を抜かないようにしよう」
4月上旬にチームは解散。自身は「安全を考え」て京都へ戻った。自重、もしくは水を入れたクーラーボックスを用いてのトレーニング、チームスタッフから指示されたバービージャンプなどの息を上げる運動をおこない、ひたすら試合を観た。帰省中は「少し太ってしまった」と笑うが、5月に東京へ戻ってから戦う身体を作り直した。
「2週間おきに、監督と話したうえで何人かずつ戻ってきていました。(一時解散中は)それぞれ離れていたんですが、Zoomでチームの基盤、土台となるところについて話しました。基盤、土台とは、一人ひとりが全力でやって、チームが協力することです」
チームは8月の夏合宿を経て、10月4日に開幕した関東大学対抗戦Aの序盤戦で堅調な仕上がりをアピール。開幕2連勝をかけて臨んだ10月11日の筑波大戦(東京・帝京大百草グラウンド)では、試合中盤までは接戦も最後は54-17で白星を得る。接点での個々の押し込みなど、細部に魂を宿した。
ところが11月1日、今季初黒星を喫した。今季初めての東京・秩父宮ラグビー場での有料試合で、昨季大学日本一に輝いた早大に29-45と屈した。前半を19-19と競りながら、試合中盤以降は接点での反則や防御のわずかなほころびに泣いた。奥村はこうだ。
「がまんして、がまんして…という自分たちのゲーム展開ができなかった。秩父宮が初めてというところもあって、緊張(があった)というか…。それで足が回らなかったところもあると思います」
22日には今季2度目となる秩父宮での試合をおこなう。相手は前年度全国2位の明大だ。
さかのぼって8日には、八王子市上柚木公園陸上競技場で立大を106-7で下した帝京大。今度は大舞台でも持ち味を発揮しきれるか。よくゲーム主将を任される奥村はかねて言っていた。
「準備期間が短いのはどこの大学も同じ。質の高い練習をする。全員が協力する」