逃げなかった南山。強かった北陽台。長崎県決勝の栄冠に輝いたのは青色ジャージー

　第100回全国高校ラグビー大会の長崎県予選決勝が、11月15日に長崎市総合運動公園かきどまり陸上競技場でおこなわれた。
　7年連続で同じカードのファイナル。長崎北陽台と長崎南山が激突した。

　1月の新人戦で0－29と完敗していた南山はチャレンジャーだった。

「絶対、逃げるなよ」

　コーチを経て、今年から指揮を執る久保田一平監督はずっとそう言ってきた。北陽台のFWは強力だ。でも、恐れるな。1対1で、逃げるなよ。

　先制したのは南山だった。果敢に挑んで相手の反則を引き出し、前半2分、キャプテンのSO筒口允之がハーフウェイから50メートルPGを狙い、決めた。スタンドの応援席から大歓声が上がった。

　その後、何度も攻め込んだ北陽台に対し、南山の守りはしぶとかった。

　しかし前半17分、北陽台はスクラムからボールを動かし、SO大町佳生のパスに走りこんできたCTB中濱友宏がディフェンスを破って最初のトライを挙げた。さらにハーフタイム前、青いジャージーの男たちはラインアウトからモールで押し込み、12－3で折り返した。

　流れを変えたい南山は後半1分、SO筒口が鋭い走りでチャンスメイクし、ワンハンドで左外のWTB川上拓夢につなぎ、トライを獲得。コンバージョンも決まって2点差とした。

　しかし、北陽台はあわてなかった。
　前半はトライを獲り急いでいたと反省。ハーフタイム時、大町尚生キャプテンを中心に、「一つひとつのプレーを確実にやって、自分たちのテンポを作っていこう」と再確認していた。

　後半4分、北陽台はモールを組みゴール寸前まで進んだあと、すばやく左へボールを動かし、WTB山下暁大が軽快なフットワークでトライラインを越え点差を広げた。

　それでも南山は食らいつき、7分、敵陣22メートルライン内でアドバンテージを得ると、WTB本多正人が右へキックパス、WTB川上がダイレクトでキャッチし、トライ。4点差とした。

　だが、北陽台はここから地力を発揮。14分、チップキックからの波状攻撃で敵陣深くに入り、あわてず、得意のモールを組んでトライ。21分にも強力FWが塊となってドライブし、追加点を挙げた。27分にはキャプテンのFL大町尚生が力強い走りでゴールに持ち込み、勝負あり。北陽台が36－15で制し、3年連続19回目の優勝を遂げた。

　北陽台の品川英貴監督は試合後、チャレンジャーを跳ね返したFWをほめた。「FWはひたすら、体を当てる練習を地道にずっと取り組んできたので、そこは県内では負けなかったと思います」。BKについては、3年生のCTB田中勘太をけがで欠いたのが影響したか、「本来持っている力は発揮できなかったですね。ちょっと硬かったかな」と振り返る。でもバランスのいいチームだ。全国大会へ向け、期待が高まる。

「長崎では追われる立場。勝たなきゃいけないというプレッシャーがあったと思いますが、こっから先はそんなのはないので、一戦一戦全力で戦います」（品川監督）

　一方、敗れた南山だが、まだ花園への切符を獲得するチャンスはある。今年度の全国大会は100回目の記念大会であるため、史上最多の63校が出場する予定で、11月20日～23日まで大分・湯布院スポーツセンターにて開催される「九州ブロック オータムチャレンジトーナメント」（福岡県を除く、九州・沖縄エリアの県予選2位チームが参加）で優勝すれば九州ブロック代表として全国大会に出場できる。

　南山の久保田監督は、「自分たちが1年間やってきたラグビーをもう一度見つめ直す準備を、明日からしっかりやって臨みます。やり残したことはないというくらい、精いっぱい、準備します」と誓った。