コラム 2020.09.03
【コラム】原点は、「その前」の3年間に。

【コラム】原点は、「その前」の3年間に。

[ 野村周平 ]

 長島先生は「人それぞれのツボ」を見つけるのが得意だ。足は遅くても、ぶつかって人をどけるのが上手な子。相手を抜き去るよりサポートプレーが好きな子。校庭で、教室で、子どもたちの長所、先生の言葉でいう「楽しめるポイント」を見つけていく。分からなかったら、「ラグビーのどこが楽しい?」「練習はどこが楽しかった?」と直接聞くこともある。そこに「教えてあげる」という上から目線は皆無だ。

 タッチフットでパスをなかなかもらえない子どもがいる。そんな光景を見つけると、先生はすかさずルールを変える。「タッチした人はオフェンスに回って」「ブレークダウンも作っちゃおう」。前提を変えれば、ゲームの流れは変わる。時には先生が参加して、その子にパスをすることもある。「褒める場面をいっぱい作ればいいんですよ」。もちろん、練習はきつい時の方が多い。でも20分のメニューなら、一個でいいから、ラグビーを楽しめる、好きになれる場面を作るよう心がける。苦しさの先に喜びがあることを知ってほしい。

「自己肯定感より、自己有用感を高めたい」と先生はいう。指導者が、仲間が、認めてくれることで、己の価値に気づける。ライバルに勝ちたい。優勝したい。去年を超えたい。それはあくまでチームの目標。でも、千歳ラグビーのクラブとして目標は、そういう日々を積み重ね、互いを認め合う文化を醸成することなのだという。

PICK UP