コラム
2020.08.21
【コラム】スガダイラは生きている。
「お前たちの今のプレーには、そういう態度が出てるんだよ。今のお前にラグビーやる資格があるのかよ。レフリーはちゃんとやってくれてるよ、お前らがしっかり理解しろよ」
執拗な叱責だった。自分たちはもちろんこの試合、この合宿を支えてくれている大勢の人たちが大切にしているラグビーへのリスペクトを伝えたかった。何よりも選手たち一人ひとりに対する愛情を感じる一幕だった。
試合後、チーム作りについて聞くと笑顔で静かに話した。
「100回大会の花園に向けてどんな準備を、もちろん考えているけれど、もしかしてその大会もないかもしれない。そしたらこの場が、彼らと試合できる最後かもしれないよな。毎日、キックオフの笛が鳴るまでは緊張して、ああ、また試合ができたって、思うよ。終わってからも、すでに試合をした先生(チーム)から連絡が入るんじゃないかってびくびくしている。『うちの子が感染していました』って連絡があったら、その時点で、ウチも山をおりることになる」
あくまで目標は花園。夏の試合も貴重なプロセスになる。それでいて、この9番グラウンドは、國學院栃木の大舞台でもあった。
試合の前後に挨拶を交わす監督同士には、今まで以上にラグビー仲間としての連帯が感じられた。どれほどの努力をしても、やむを得ない事情でこの場所へ来られなかった人がいる。合宿出発直前に中止になったという話も複数、耳にした。相手にありがとう。支えてくれる人にありがとう。多くの人とのつながりを感じながら、仲間と一丸となる。ラグビーマッチの原型をみた気がした。