国内
2020.05.23
仲間と仕事とふるさと。大野均、現役引退会見
「大事にしてきたことは激しさ。大学からラグビーを始めて、パスもキックもへた。どうしたらチームに貢献できるか考えたら、走ることと激しさだと思った。自分にとってはごくシンプルなことで、それがよかった。あれもこれもできる選手だったら、迷ってしまって、ここまで長く現役でい続けられたか、わからない」
まさか、そこまでやるとは思わなかった。2011年の「老兵」は、2015年になってより成長しチーム内で重要な存在になっていた。
2011年W杯、ジョン・カーワン ヘッドコーチの元、1分3敗で終わった日本は世代交代のタイミングにあった。しかし、すでに34歳だった大野は、新監督エディー・ジョーンズの最初のスコッドに名を連ねた。「チームには、文化を伝えていく選手も必要」。指揮官の大野に対する当初の役どころは、チームを未来へつなぐベテランだったはずだ。それが、結局2015年になるとますます欠かせない選手になった。まさにジャパンの文化を背負って戦える選手だったからだ。勤勉さ、あくなき勤勉さ。2015年、日本が南アフリカを破った試合では先発。大野均の能力の埋蔵量は、周囲の見立てよりもずっと偉大だった。2019年W杯の初8強の快挙につながる土台にもなった。
「日本が世界で戦うなら、ハードワークという要素は欠かせないと思います。昨年のW杯で日本代表が躍進できたのは、ジェイミー(ジョセフ/HC)がハードワークと、自主性を尊重したからだと聞いています」
「昨年、日本が4勝したことで、日本中の選手が自信を感じられたと思います。日本のラグビーは強いんだという自信を積み重ねられれば、次のフランス大会でも、ベスト8以上の成績を残せるはずです」