違反降格で移籍市場注目のサラセンズ W杯準優勝戦士と欧州最優秀選手が日本のチームに加入か
来季へ向けてラグビー界の移籍市場は活発化しているが、特に注目されているのはサラセンズの選手たちの動向だろう。
ロンドンを拠点とするサラセンズはこの10年間で、ヨーロッパチャンピオンに輝くこと3回、イングランド最高峰リーグのプレミアシップでも5回優勝するなど、世界的にも人気がある強豪クラブ。ラグビーワールドカップ2019日本大会で準優勝だったイングランド代表のスコッドには、サラセンズ所属選手が最多で9人もおり(追加招集のSHベン・スペンサーを含む)、そのうち8人が決勝の試合登録メンバーに名を連ねていた。
しかし、2016年から3シーズンにわたって選手の年俸総額の上限を定めたサラリーキャップ制度に違反したとしてプレミアシップから厳しい処分(2019-2020リーグの勝点から最終的に105ポイント減、罰金約7億円)を科され、協議を重ねた末、今シーズン終了後に2部リーグのRFUチャンピオンシップへ降格することが発表された。
そのため、サラセンズは大幅な選手削減と賃金カットをしなければならず、スター選手の多くが期限付きのローンを含め移籍するのではないかと予想されている。
2017年8月にサラセンズと5年契約を結び、同クラブでの年俸は75万ポンド(約1億円)といわれるイングランド代表主将のCTB/SOオーウェン・ファレルは、サラリーキャップの制限を受けない選手(マーキープレーヤー)であり、チームに留まる。新型コロナウイルスで試合がおこなわれずクラブの財政状況が悪化したこともあり、9月までの5か月間は給料の約90%は繰り延べとなるが、昇格へ向けて尽力することになるだろう。
もうひとりの看板選手であるLOマロ・イトジェは、フランスのラシン92から高額オファーを提示されたと伝えられているが、サラセンズはこれを阻止。イングランドラグビー協会は海外に拠点を置く選手をナショナルチームには選出しない方針をとっており、他のプレミアシップクラブも「例外的な状況として特例を認めるべき」との声に反対した。
しかし、イングランド代表の若きリーダーでもある25歳のイトジェがさらに成長するためには、国内2部リーグでプレーするよりもハイレベルな舞台で力をつけた方がいいという意見もあり、国内のレスター・タイガースへローン移籍するのではないかという話が浮上。同クラブのディレクター・オブ・ラグビーであるジョーダン・マーフィーはこの噂を否定したが、スター選手をめぐる騒動はなかなか収まらない。