国内 2020.05.22

筑紫高ラグビー部は、春にも冬にも花を咲かせる。「いまは差を埋められるチャンス」

[ 向 風見也 ]
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筑紫高ラグビー部は、春にも冬にも花を咲かせる。「いまは差を埋められるチャンス」
筑紫高校ラグビー部では母の日に花束を贈る習慣が根付いている


 今年の母の日はどうしようか。

 母校の筑紫高で教師となりラグビー部のヘッドコーチも務める藤木佳行は、頭を悩ませていた。

 毎年5月にフラワーアレンジメント教室を開くのは、「5年くらい前」からのことだ。対象の3年生部員から集めた「1000円ずつ」を元手に格安で花を仕入れ、手ほどきをする。

 愛知学院大卒業から教員になるまでの約6年間、フラワーギフト業を営む日比谷花壇に勤務していた。前職で培った人脈と技術を駆使し、身近な母に謝意を伝えるよう背中を押してきたのだ。

 取り組みは好評だった。チームは無料通話アプリのLINEで保護者との連絡用グループを作っているが、時期が来ればアカウントのトップ画像を息子の作った花束にする母親がぽつりぽつりと現れる。

 ただし、今年は新型コロナウイルスの影響で3月2日からの休校措置が取られ、5月に入っても対面授業がままならない状態。チームも一時的に集合が許された4月上旬に測定をおこなっただけで、日本政府が緊急事態宣言を発令してからは活動の幅は限られている。

 母の日の試みについても「今年はビデオメッセージだけにしようか」と考えた藤木だったが、最終的にはオンライン会議アプリzoomでの指導に踏み切る。クラブに毎年5月の習慣が根付いていたためか、選手たちの方から「今年もやりたい」というリクエストを受けたからだ。

 今年は監督の長木裕と手分けをして数か所の公園を回り、待ち合わせをした部員に納入した生花を手渡し。そして5月上旬、液晶画面の前で講師を務めたのである。

 不測の事態に直面しても実現できた、毎年恒例のサプライズ。その背後には、藤木が生徒に伝えたいメッセージが見え隠れする。

「人を喜ばせることが喜びになると感じて欲しい」

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