コラム
2020.05.22
【コラム】変わる、変える。災後のラグビー
京大は翌1946年度、快進撃を見せる。早大、東大、慶大、明大と関東勢に全勝した要因に、当時の人は栄養面の充実を挙げている。「補給戦の優位性から体力に自信を持つと、同時に頭脳戦の面でも余裕のあるプレーに結びつく。(中略)心憎いまでのゆとりをもって、戦後復活した伝統ある対抗戦に臨んだのである」
戦後の混乱は部員獲得の面でも格差を生んだ。従来は親元を離れて関東に進学したはずの学生が、食糧難で関西にとどまるケースが増えた。出征した学生の卒業を簡単に認めなかった国立大では復員兵が部に戻った一方、私立大は戦力の「流出」に悩まされた。
戦後と今回のコロナ禍では状況が違う。ただ、災厄の後にスポーツを再開する時の不平等は今回も出るだろう。
緊急事態宣言が早く解かれた地域と長引いた地域の選手では、練習量や試合前の準備に差が生じる。肉弾戦が多い競技だから、コンディションの違いはケガに直結する。県境をまたぐチーム同士の対戦には特に配慮が必要になるだろう。マスクや消毒液の確保、各種検査の受けやすさにも、学校ごとに差が出るかもしれない。