「神戸には平尾さんとの想い出がたくさん」。米国・ゴールド監督、イングランドに挑む。
9月26日に神戸御崎公園球技場で戦うアメリカとイングランドが同スタジアムで試合前日練習をおこなうとともに、記者会見を開いた。
アメリカはこれが今大会初戦。イングランドは22日にトンガと戦っており、中3日での試合となる。
アメリカを率いるギャリー・ゴールド監督は、2014年に神戸製鋼を率いた。それだけに、「この街には素晴らしい想い出がある。ホームシティーであり、ここはホームスタジアムだった」と話し、続けた。
「神戸に私を連れてきてくれたのは平尾さん(誠二/故人/当時GM)でした。たくさんの記憶がある。その平尾さんがいなくて寂しい」
特別な場所で強国に立ち向かう。静かに闘志を燃やしていた。
スコッドの総キャップ数は、イングランドの方がはるかに多い。相手はティア1の上位国で、こちらはティア2。ゴールド監督は格の違いを受け入れながらも、「(試合が)楽しみでしかない」と言う。
「イングランドは、分析すればするほど弱点がない。しかし、こちらには戦うプランがある。それを実行する」
理論派の指揮官だ。自分たちの強みを最大限活かす。専門分野でもある防御を固めたい。
メジャーリーグ・ラグビーの創設や、今年7月にコロラドでおこなった異例の4週間合宿など、チームは過去の大会とは違う道を辿って今大会を迎える。
来日してからは沖縄で合宿。指揮官は、同地での日々を「日本の中でも暑く、湿気のある場所を選んだ。最高の環境でいい準備ができた」と振り返る。
やるべきことはやり切ったからだろう、前向きな言葉を連ねる。
「誰も(アメリカが)勝つと思っていないだろう。でも、それが相手にとってプレッシャーになる。そして、格下の相手が開き直って立ち向かってきたとき、それもあちらにとってはプレッシャーになるでしょう」
アメリカンフットボールの最高峰、NFLに所属したこともあり、現在は英・プレミアシップのハリクィンズでプレーするCTBポール・ラシケの強いランニングはチームの武器。
ラシケはこの日の記者会見にも出席し、「NFLのような華やかな雰囲気、そしてビッグスタジアムの大観衆の前でプレーするのが楽しみ」と話した。
ゴールド監督は、19歳のPRデヴィッド・アイヌウに期待を寄せる。178センチ、123キロの体躯を誇る1番は、まだ19歳。13歳でラグビーを始め、年代別代表を経験。駆け足で世界の舞台に上がる。
指揮官が「信じられないほどの成長を見せている」と言う若者は、高校生のうちに代表合宿に召集され、フランスのトゥールーズとプロ契約。昨年秋のサモア戦で初キャップを獲得し、経験を積み重ねている。
「彼は希望の星。素晴らしいキャリアを重ねて100キャップを超える選手になるはず」
指揮官が絶賛する逸材に注目だ。
イングランドは9月22日に札幌でおこなわれたトンガ戦の先発メンバーから10人を変更して第2戦に臨む。
会見に出たLOジョー・ローンチベリーとSHベン・ヤングスはともに、「(短い間隔で試合をするための)準備はやってきているので問題ない」と話した。