コラム
2019.07.25
【コラム】ラグビーは「小卒」競技のままか
「それでも、公立中学にラグビー部があることの意味は大きいと思うんです。ラグビーの楽しさを伝える。そんな入り口のような存在になれたら」。公立の教員の常で、いつ異動の知らせが来るかは分からない。その日までにいかに持続可能なクラブをつくれるか。黒崎さんの情熱が、新生・五中ラグビー部を支えている。
ラグビースクールや中学の部活動がもっと地域の大学やトップリーグと連携する枠組みができれば、練習環境や指導の質を充実させることができるかもしれない。W杯の会場やキャンプ地のある自治体と都道府県協会がスクラムを組めば、継続的な普及啓発が進むかもしれない。取材を通して、そんな考えが頭を巡った。子どもたちがラグビーを楽しいと思えるような下地を整え、黒崎さんのような無名の指導者たちの情熱に応えるには、日本協会をはじめとする管理者側の明確な方向性の提示や、それに伴う地道な作業の積み重ねが不可欠なのだと思う。
新体制に移行した日本協会ではいま、清宮克幸副会長らによる新リーグ構想のほか、日本協会と加盟団体の関係性を見直し、組織統治(ガバナンス)態勢を充実させる検討が始まっている。ポストW杯における代表強化策をどうするかなど課題は山積みだが、強固な土台なしに日本ラグビーの明るい未来はない。どうすれば、子どもたちが継続的にラグビーを楽しめる環境を作れるか。足元に目を向けた施策を期待したい。