コラム
2019.07.25
【コラム】ラグビーは「小卒」競技のままか
この事態に日本協会が手をこまねいていたわけではない。ラグビースクールに通う中学生らが平日でも競技できる環境をつくろうと、スポーツ庁の委託事業として「放課後ラグビープログラム」を展開。W杯日本大会の12開催都市を中心に、これまで1500人超の中学生が参加した。菅平では部員数が少ない中学でも参加できるような「ジャンボリー」を開催。中学校とラグビースクールが参加する全国大会「太陽生命カップ」は今年9月で10回目となる。中学の登録者は2015年度以降、わずかながらも増えてはいる。W杯日本大会組織委員会も、競技未体験の子どもたちがラグビーに触れる機会を増やそうと、全国のラグビースクールで一斉体験会を開くなどの普及策を実施してきた。
現場でも中学生のラグビー環境を整えたい、と奮闘する指導者はいる。
東京・東大和市立第五中学は、同校3年目になる教員の黒崎達也さん(32)が昨年、ラグビー部を復活させた。かつて都大会で準優勝した実績を持つ同校は、公立では珍しく校庭にラグビーポールが立つ。部員数減少で近年は廃部状態だったが、大学までラグビー部に所属した黒崎さんが「ラグビーに恩返ししたい」と生徒たちを熱心に勧誘。競技経験のない部員は21人となり、単独で大会に出場できるまでになった。
人工芝のグラウンドが整備されている都内の私立中などと比べると、土のグラウンドの五中は今時の中学生がラグビー部に飛び込みやすい環境とは言い難い。ただ、それ以上に部員集めで難しさを実感するのは、子どもたちのラグビーへの関心の希薄さに気付くときだという。