L・ウィリアムズの安定、ウエールズに勝利呼ぶ。イングランドは修正できず。
2節を終えて残った2つの全勝チームの対決は、イングランドを21-13で破ったウエールズに軍配が上がった。ウエールズは同国史上最高のテストマッチ12連勝。第3節が終わった時点で首位となった。
ビリー・ヴニポラ(NO8)や、コートニ―・ローズ(LO)らがフィジカル勝負を前面に押し出し、ゲインライン上での攻防を制したかったイングランド。オーウェン・ファレル(SO)、エリオット・デイリー(FB)はバックスリー間のスペースにキックを蹴り、ミスを誘った。
しかしウエールズは、リーアム・ウィリアムズ(FB)が両WTBとうまく連係をとってうまく対応する。この日、マン・オブ・ザ・マッチに輝くパフォーマンスを見せたウィリアムズは試合後、「バックスリーはこの1週間、キック戦術への対策を徹底的に練習してきた。この成果が結果に繋がり、満足している」と、振り返った。
再三に渡り敵陣に入りながらもウエールズの堅守に手を焼いたイングランドだったが、26分にはトム・カリー(FL)がラックをすり抜け、前半唯一のトライ。3-10とリードを奪った。
後半に入っても徹底してキックを続けるイングランドに対し、ウエールズはFBウィリアムズの冷静なボール捌きだけでなく、ジョージ・ノース(WTB)の力強い走りも交えて、有効なカウンターアタックを展開する。
一試合を通じてのペナルティは3つ(イングランドは9つ)と規律を守り、我慢強いプレーを続けたウエールズは、67分のコリー・ヒル(LO)、77分のジョシュ・アダムス(WTB)のトライで21-13と試合を決めた。
前節、前々節と、ゲインラインでの攻防+空中戦で上回ったイングランドは、この日も同じ戦術で戦い、ウエールズに対応された。後半に入っても試合の流れを変えられなかった修正力の欠落は、今後の課題となるだろう。
エディ・ジョーンズ監督は「今日は、空中戦で負けました。ペナルティでの自滅も敗因のひとつ。熱くなりすぎたとは言いませんが、タフなゲームではギリギリのプレーが一線を超えてしまうこともある。主将のオーウェン・ファレルはちょっと調子が良くなかった。どんな選手にもそんな日はある」と、振り返った。
対するウエールズのウォーレン・ガットランド監督は「イングランドの強みである部分への対策は十分に練って来ました。そこでの戦いに勝てたことが、結果に繋がりました」と満足げだった。
2007年から同国指揮官を務めるガットランドは、ワールドカップ後に現職を退くことになっており、今年が最後のシックスネーションズだ。
3節を終えて唯一グランドスラムの望みを残すウエールズは、次節は敵地、エディンバラでスコットランドと戦い、最終節はカーディフに、アイランドを迎える。
(文/竹鼻智)