国内 2019.01.05

明大、大学選手権チーム内トライ王。初出場プロップ安昌豪の思い。

[ 見明亨徳 ]
明大、大学選手権チーム内トライ王。初出場プロップ安昌豪の思い。
明大スクラムの最前線、「強みで天理に勝つ」と左PR安昌豪(撮影:見明亨徳)

「第55回全国大学選手権」決勝は、22大会ぶり13度目の日本一を目指す明大と初優勝をかける天理大の対戦になった。明大は早大を逆転し31-27で制した準決勝で4トライを奪い、同選手権3試合で計13トライとなった。そのうち3トライを取ったPR1番の安昌豪(あん・ちゃんほ/3年、大阪朝鮮高出身)がチーム内のトライ王だ。

 安は今大会で大学選手権のピッチに初めて立った。3回戦(12月16日)、立命館大に50-19で勝った試合に先発した。3-0とリードの前半12分、キックリターンから立命陣へ入る。ゴール左のラックからSHのパスをもらうと立命ディフェンス2人の間を抜いてインゴールへ運んだ。31分にはラインアウト起点のアタックでゴール前へ。ラックのボールを拾い左中間へ飛び込み2トライ目を奪った。
 準々決勝(12月22日)は東海大戦。1番で先発。0-3とビハインドで時間が進む。前半20分、ラインアウトから明大が東海大ゴールラインへ迫った。ラインをはさんでの攻防。ポスト中央のラック、安はボールを持ちポスト右下へ置いた。コンバージョンも決まり7-3と逆転。このあとは明大が同点にされるもPGの決勝点で18-15と4強入りした。

「トライを取ることは狙っていません。運動量で上回りトライを取ればチームに貢献できる」と安は語る。重要なのは「自分の仕事をやり切る」ことだ。
 具体的には接点で激しく戦うこと。
 早大との準決勝も先発、トライを決めることはなかったが接点では、結果を出した。10-13の前半37分、明大SH福田健太の左タッチ際へのハイパントを早大WTB長田智希がキャッチ。明大WTB高橋汰地がタックル、ラックへ。このボールを安がターンオーバーし前進した。ここから出たボールがバックスへつながりCTB射場大輔の逆転トライを生んだ。「やることをできました」。安はにっこり笑顔だ。

早大との準決勝、前半37分に逆転へつながるターンオーバー(撮影:見明亨徳)

 もう一つの仕事。明大FWにとってスクラムを押し切ることは最大の責任だ。しかし前半20分までに2度、コラプシング(故意にスクラムを崩した)の反則を取られた。滑る状況もあったが、面目が潰れていた。
 失地回復は25分、明大陣22メートルのマイボールスクラム。早大を10メートル押した。「修正できました」とコミュニケーションを取りあい解消できたという。

 安は大学選手権、1年時は3回戦(22-26で京産大に敗戦)リザーブ17番だったが出番は無かった。昨年度はメンバー入りしていない。今年になり関東大学対抗戦の初戦(vs 青学大)リザーブ17番で途中出場すると、第3戦以降は1番ですべて先発した(先発5、リザーブ1、2トライ)。春以来、1番を背負ってきたFWリーダーの齊藤剣(4年)が今は17番だ。

 年末年始、嬉しい出来事もあった。母校、大阪朝鮮高が4年ぶりに全国高校大会(花園)へ出場した。安は大学選手権の準備で直接、応援には行けなかった。「(自分が)2年生の時に花園へ出て以来だったので東京から応援しました」。母校は1回戦で日川を29-14で下すも、2回戦は報徳学園の前に29-50と敗れた。「後輩から力をもらいました」。

 大学選手権決勝戦の相手は天理大。今季は春(17-24)、夏(19-24)と連敗中だ。「決勝の舞台に立てるように良い準備をしたい。強みを出し切って勝ちます」。
 2019年1月12日、紫紺のジャージーを着る責任を全うする。

「自分の仕事をやりきるだけ」。写真中央が安(撮影:見明亨徳)

PICK UP