海外 2018.12.27

リコーが「いいよ」と言ってくれる間は、 日本に良いレガシーを残したい

[ 編集部 ]
リコーが「いいよ」と言ってくれる間は、 日本に良いレガシーを残したい
『いぶし銀』ブロードハースト マイケル

 トップリーグでここ数シーズン、着実にステップアップを続けているリコーブラックラムズで、いぶし銀の働きを続けているのがフランカー(FL)のブロードハースト マイケルだ。196㎝、110㎏の恵まれた体躯を深く折り曲げて低い姿勢を作り、タックルで愚直に体をぶつけ、密集に突っ込んで相手を押しのけるハードワークをひたすら反復する。2015年ワールドカップでは南アフリカを破るなど歴史的快挙を成し遂げ、リコーブラックラムズを新たなステージに引き上げ続けるハードワーカーが語るラグビーの魅力とは? フランスリーグTOP14を中継するWOWOWのハーフタイム企画「世界挑戦の系譜」で語ったインタビューをお届けする。(素材提供:WOWOW)

――海外のラグビーをテレビでご覧になっていますか?

「はい、よく観ています。よく観るのはニュージーランドの試合、スーパーラグビー、ITMカップ、それからテストマッチ……。やっぱり、ニュージーランドの試合を一番多く観ています」

――ニュージーランドでの幼少時代、ラグビーは身近にあったのでしょうね。

「ラグビーを最初に始めたのは5歳のとき。ホームタウンのギズボーンの小さなクラブでした。18歳頃まではずっと、小さいクラブでプレーしていました。
 その頃見ていたのは、やっぱりオールブラックスの試合が多かったな。父が、オールブラックスの試合があるときは必ずテレビで観ていたので、僕も一緒に観ていました。キーウィ・キッズ(ニュージーランドの子どもたち)は誰もがオールブラックスに憧れていていましたよ。個人名をあげると、やっぱりジョン・カーワン。あとはジェフ・ウィルソン。彼らは僕にとって本当に夢の存在。テレビで試合を観るたびに、いつも僕らに何かをインスパイアしてくれました。あとは、自分のクラブのシニアの選手も憧れの存在でした。ニュージーランドではどこでも、身近なところにラグビーのヒーローがいるんです」

――ニュージーランドに海外からやってくるチームのことはどのように見ていましたか。

「よく見たのはオーストラリア、南アフリカ。トライネーションズ(現ザ・ラグビーチャンピオンシップ)やスーパーラグビーで、よくニュージーランドに来ていました。それからブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズは僕が6歳の時にニュージーランドへ来ました。彼らが来てオールブラックスと試合をするのを僕は楽しみにしていました。
外国のチームで注目していた選手は、僕は7番(オープンサイド・フランカー)をプレーしたかったのでオーストラリアのフィル・オーや南アフリカのスカルク・バーガーのプレーはよく見て研究しました。成長して、彼らの何人かとは実際にピッチで対戦する機会があって、それは嬉しかった。
 北半球のチームは、毎年やって来てはいたけれど、僕にはなかなか生で見る機会はなかったし、そんなに身近ではなかった。やっぱり毎年楽しみにしていたブレディスローカップやトライネーションズの試合の方が楽しみでした。
 でも、今はサンウルブズがニュージーランドではすごく人気があるんです。僕の友だちはみんな、地元の贔屓チームの次に応援しているのはサンウルブズだと言っていますよ(笑)。なかなか勝ててはいないけれど、思い切ったアタックで魅力的なラグビーをするし、オーストラリアでも南アフリカでもすごく人気があるんです」

――2009年に来日、クボタスピアーズと契約して日本でのキャリアをスタートさせました。

「僕はニュージーランドではプロフェッショナルの選手にはなれなくて、NPC(ニュージーランド・プロヴィンシャル選手権=現在のITMカップ)のポパティベイでアマチュア選手としてプレーしていた22歳のときに、日本でプレーするという話をもらいました。フルタイムのプロ選手としてね。ラグビーを仕事にできるなんて、僕にとっては夢だったから。このチャンスは絶対に掴まなきゃと思いました。試合に出るのもそうだし、ウエイトトレーニングも自分の仕事として打ち込める。こんな幸せなことはないと思いました」

――来日する前、日本についての情報はどんなことを知っていましたか。

「実は全然知りませんでした。ニュージーランドのチームにいたときのコーチに、ポール・フィニーという、以前にリコーのBKコーチをしていた人がいたので、彼に話を聞いたけど、教えてもらったのは主にライフスタイルに関することでした。選手やスタッフはみんな、グラウンドの近くに住んでいて、徒歩や自転車でグラウンドにやってくること、家族と過ごす時間はニュージーランドよりもとれるとか、食べ物は何でもある、トーキョーはビッグシティだから、遊ぶところ、観光するところはいくらでもあるとか、そういうことをいろいろと。
 ラグビーについては、日本の選手は低いタックルが得意で、膝下にチョップするように入ってくる。ニュージーランドの選手は慣れていないから気をつけろと言われました」

――2010年にはリコーに移籍して、来日から3年経過した2012年には日本代表に呼ばれます。

「初めて日本代表に声をかけてもらったときはとても嬉しかったし、すごくエキサイトしました。それも、当時世界のベストコーチのひとり、エディー・ジョーンズから声をかけてもらえたし、『是非やらせてください』と答えました。最初の1、2年は外国の大きいチームにはなかなか勝てなかったけれど、どんどん強くなって、たくさん勝ちましたね。ウェールズに勝ったし、イタリアに勝ったし、ワールドカップでは南アフリカを破ったり、本当に素晴らしい経験。あの日本代表で過ごした時間、あのワールドカップは、僕のラグビーキャリアにとってベストタイムでした」

――素晴らしい結果を掴むまでには、練習で大変な思いもされたんですよね。

「そうですね。特にワールドカップイヤーは、5カ月くらいタフなトレーニングを続けたかな。正直、良い思い出はない(笑)。ただ、ハードなトレーニングをやればやっただけの効果はありました。やっぱり、ハードワークは必要なんだということがよく分かりましたね」

――2015年ワールドカップでの好成績はご自身の人生を変えましたか?

「ラグビーに関しては人生が変わったかもしれません。何が変わったかというと、ラグビーの試合に臨むときの気持ちが変わったと思います。以前は、試合を迎えるときには不安になったり、ちょっとのことにイライラしたり、いろいろな感情に襲われる、ナーバスな自分がいました。だから試合前には音楽を聴いて気持ちを鎮めたり、逆に自分を盛り上げてアグレッシブになろうとしたり、いろいろなことをしていました。あのワールドカップのあとは、あらかじめ自分のやるべき準備をしておけば、不安なく試合に臨めるようになりました。
 ワールドカップはものすごく大きな大会なので、あそこで自分の目指すプレーができて、結果を出せたことで、自分にとって本当に良い自信になったと思います」

――これからの自分のラグビーキャリアをどのように描いていますか。

「僕も32歳になりました。もう若くないね(笑)。今はリコーでプレーすることに集中しています。リコーはとてもいいチームだし、この数年間、ものすごく成長している。僕としてはリコーが『ここにいていいよ』と言ってくれる間はここでプレーして、少しでも良いレガシーを残したいと思っています。あと何年できるかな? 3年か、4年か、5年か(笑)。分からないけれど、体が持つ限りはここでプレーしたいと思っています」

――そこまでラグビーを好きな理由、ラグビーの魅力を聞かせてください。

「そうですね…。怒りを消化できるとでもいえばいいのかな。ビッグタックルが決まったり、素晴らしいランプレーがあったり、そういう瞬間はものすごい力を持っていると思います。あらゆる感情が吹き飛んでしまうような。最近ではリコーでパナソニックに勝ったときもそうだったし、ワールドカップで日本代表が勝ったときもそうだったけど、本当にそのときの喜び、達成感、仲間との一体感…言葉にするのは難しいけれど、現実とは思えないような感覚を味わえる。これはものすごい価値のあることだと思います。
 だから、僕は今も、それを味わいたくて、普段からハードワークを重ねて試合に備えているわけです」

PROFILE
ブロードハースト マイケル
1986年10月30日、ニュージーランド・ギズボーン生まれ。196㎝/110㎏。5歳でラグビーを初めて経験。7歳のとき地元のワイパパカウリクラブに入り競技生活をスタート。NPC(ニュージーランド・プロヴィンシャル選手権=現在のITMカップ)ポパティベイでのプレーを経て、2009年来日。トップリーグのクボタスピアーズで1年間プレーしたのち、2010年にリコーブラックラムズへ移籍。2012年に初めて日本代表に選ばれ、エディージャパンの一員として2015年ワールドカップに出場。南アフリカ戦など全4試合に出場するなど26キャップを持つ。2017年に日本国籍を取得。2018年9月9日の東芝戦でトップリーグ(リーグ戦)通算100試合出場を達成した。

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