国内 2017.01.07

48−0の「紙一重」。サントリーが好敵手東芝制し優勝へ王手!

48−0の「紙一重」。サントリーが好敵手東芝制し優勝へ王手!
序盤のスクラムから激しかったサントリー×東芝のライバル対決(撮影:松本かおり)
<ジャパンラグビートップリーグ 2016−17 第14節>
サントリー 48−0 東芝
(2017年1月7日/東京・味の素スタジアム)
 東京都府中市で活動する者同士のクラシコ。戦前から戦後まで、両者の立場は対照的だった。
 昨季準優勝も今年度は戦前まで6勝7敗と苦しむ赤いジャージィは、お家芸たるフィジカル勝負に注力。「スローダウンさせよう」とは、NO8リーチ マイケル。CTBリチャード・カフイもうなずく。
「クイックボールを出させたらサントリーは攻撃でプレッシャーをかけてくる。ラック(からの球出し)を遅く、ということはやりました」
 前半4分頃。自陣ゴール前右の「ラック」へCTBカフイが衝突。相手の球出しを「スロー」にする。サントリーのSH流大主将はなんとかさばくも、左中間でNO8リーチがタックル。落球を誘った。
 以後もFLリアム・メッサムらがぶちかまし、試合を締める。それでも果実を得たのは、開幕13連勝中のサントリーだった。球の出どころで苦しめられながら、最終的にはアタックを貫いたのだ。
 その秘訣を、主将経験者のNO8竹本隼太郎が端的に示す。
「スペースをよく観られているのと、判断が良かったです」
 8分。ハーフ線付近右でランナーとなったCTBカフイが突進。ここから東芝が攻め始めそうなところだったが、出された楕円球をサントリーのLO真壁伸弥が拾う。直進。
 同時に黄色い攻撃陣形が一気に広がり、パスは逆側へつながる。最後は端にいたWTB中?隆彰が、目の前の防御を振り切った。ゴールラインまで、約40メートルを駆け抜けた。スコアは7−0。
「皆のリアクションが良かった時は、いいトライにつながっている」
 サントリーのSO小野晃征が控えめに手応えを明かすかたわら、東芝のNO8リーチはこう認めた。
「サントリーの上手いところは、ボールをスペースに運べるところ。それに自分たちが対応できず…」
 SH流主将は、敵の背後へのキックでも魅せつつ「東芝さんは早い展開の方が嫌かと思い、なるべく早く外に…」。24−0とした前半こそ、しばし「外」で東芝の「スロー」に直面。ただ後半は、CTB村田大志いわく「ダイレクトプレーを」。接点付近に人を引き寄せながら、7、25、39分と「外」で得点した。
 防御でも皆で素早く起き、網を張った。CTB村田はこうも続ける。
「安心して守れたと思います」
 強化方針を変えた今季の東芝は、NO8リーチによれば「例年よりフィジカリティが落ちています」。かたや前年度9位のサントリーにあっては、沢木敬介新監督が各項目で厳しい基準を明示。白星を得ながら、細部の反省を怠らずにきた。
 この日3トライのWTB中?も、快勝劇の背景をこう観たようだ。
「ひとつの画を観ることに関して、チームのレベルが上がりました」
 試合後。優勝に大手をかけた側のスタッフは「紙一重」とつぶやく。
 1つひとつの激しい打ち合いを「紙一重」でしのぎ続けたことでやっと大勝できた、との意味だろう。
 では、何がその「紙一重」の堆積を生んだのか。
 同じ人物は応えた。
「準備、です」
(文:向 風見也)

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