セブンズ 2016.07.29

男子セブンズ代表、五輪へ出発。未知の舞台へ、桑水流裕策主将が引っ張る。

男子セブンズ代表、五輪へ出発。未知の舞台へ、桑水流裕策主将が引っ張る。
成田空港での出発セレモニーで激励された男子セブンズ日本代表。中央が桑水流主将
(撮影:松本かおり)
 キャプテンはリラックスした表情で言った。
「ラグビー界で誰も知らない舞台です。そういう意味では緊張もしていますが、初戦がニュージーランドというのはやり甲斐がありますね」
 桑水流裕策主将はラグビー界に新しい歴史を刻むことを楽しみにしているようだった。7月29日、男子セブンズ日本代表が成田空港からオリンピックの舞台、リオデジャネイロに向かって旅立った。バックアップメンバーも合わせて14人の選手(12人の代表内定選手と2人のバックアップメンバー)とスタッフたちは、見送る多くの関係者に笑顔で応えていた。
 準備をやり切った集団だ。その結果、14選手がこの日のチケットを手にできた。6月29日にいったんは『オリンピック競技大会ラグビー日本代表選手団』と発表されたメンバーが7月17日アナウンスの『日本代表内定選手』で一部変更されたのは、最後の最後まで競争が続いたからだ。キャプテンは、「6月29日の時点でセレクションは最後まで続くと言われていたので、みんな理解していました。外で言われているような動揺はありません。その後、成田、オーストラリアと続いた合宿での結果が反映されたメンバー」と話し、そういう経緯があるからこそ「これまで時間をともにしてきた人たちの思いも胸に戦いたい」と言った。
「できれば一番いい色のメダルを持ち帰りたい」と決意表明した桑水流主将は、「初戦。特にその試合の入りが大事」とした上で、最初の対戦相手となるニュージーランドとの対戦についてこう語った。
「どちらがキックオフレシーブになるか分かりませんが、いずれにしても、アタックに回ればスペースにボールを運び、継続して攻め続ける。ディフェンスなら前に出て、倒し、こちらは立ち続ける。これまでやってきたことを出すだけ」
 仲間の中でのキーマンには、2人の名を挙げた。
「アタックならレメキ(ロマノ ラヴァ)。ディフェンスならうしろで守る合谷(和弘)の動きが大事になってくるでしょう」
 自身はキックオフボールの確保でチームに貢献したい。
「それだけで長くプレーし続けられたと言っても過言ではないですからね。坂井(克行)、合谷のキックの精度も高いし、そこで期待に応えたいですね」
 ニュージーランド戦後、戦いは対イギリス、ケニアと続く。サンパウロでの調整を経て、試合4日前に決戦の地・リオへ入る予定だ。
 国内最後の合宿は、キャプテンの故郷・鹿児島で合宿がおこなわれた。合宿中には怪我で五輪への道を諦めなければならなくなった後藤駿弥(ホンダ)が姿を現わし、ウォーターボーイ役を務めるサプライズもあり、あらためて責任の重さを感じた。
「そんな姿を見て気が引き締まりました」
 自分たちを見つめている人たちがたくさんいる。後藤は、自身が怪我で夢を諦めなければいけなくなった悔しさや、仲間への思いを綴ったチームへの手紙も書いてきてくれて読み上げた。それは、日の丸を背負う意味を深く知る時間にもなった。
 互いに深い信頼で結ばれる瀬川智広ヘッドコーチは、期待する選手について「全員」と答えた後、「(セブンズと五輪への)思いが強いキャプテンが引っ張ってくれるでしょう」と付け加えた。
 福岡大学の2年生だった2005年に初めてセブンズ日本代表(スリランカセブンズに出場)に選ばれた。そのときから足かけ12年。ため込んできたものすべてを初戦のキックオフ(8月9日)にぶつける。

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いざ、リオへ。オリンピックに挑む男子セブンズ日本代表(撮影:松本かおり)

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