海外 2016.07.20

田村優、スーパーラグビー&日本代表で「いいテンポ=止められない」と実感。

田村優、スーパーラグビー&日本代表で「いいテンポ=止められない」と実感。
スーパーラグビー2016、最終節のシャークス戦でプレーする田村優(Photo: Getty Images)
 国際リーグのスーパーラグビーに日本から初参戦したサンウルブズが、初年度の戦いを1勝13敗1引き分けで終えた。
 現地時間7月15日夜、南アフリカはダーバンのキングスパーク。上位8強によるプレーオフ進出を目指すシャークスと打ち合いを演じるも、29−40と惜敗した。
「気負いはなかったです。周りの選手がサポートしてくれて」と語るのは、司令塔のSOとしてプレーした田村優。この日、初めてゲーム主将を務めていた。パエア ミフィポセチ、デレック・カーペンターらとの連携で、相手守備網を幾度も破った。過去2試合で15得点とミスに泣いたチームにあって、4トライを導いた。
「僕のポジションはチームをリードするのが大事なので、そこは意識しました。ただ、特別なことをするわけではなく、コーチ陣から落とされたゲームプランを皆に浸透させて、特にいいアタックができるように皆に伝えて、皆を同じ方向に行かせる、と」
 明大からNEC入りし、2015年にはワールドカップイングランド大会の日本代表となった27歳は、今年度、初のスーパーラグビーの舞台を経験した。9点差を追う後半19分には、相手が反則をした敵陣10メートル線付近でペナルティゴールを選択。この局面でしばし速攻を仕掛けるSHの茂野海人に声をかけ、自ら、右足を振り抜いた。成功させた。
 6月は日本代表の背番号10をつけ、3つのテストマッチ(国際間の真剣勝負)すべてに先発フル出場した。ゴールキックは14本中13本、成功させている。
「疲れがたまったなかでも、精度を落とさないように…」
 東京・辰巳の森ラグビー練習場でのトレーニング後は、足にテーピングを巻いてからキックの反復練習を始めていた。2月の沖縄での強化合宿で、自身のキックの動作をビデオで撮影。レビューのもと理想のフォームを把握し、それを身体に落とし込むためだ。
「何の試合の前だったかは忘れましたけど…」。蹴る際のキックティー(台)を、かつて名キッカーだった田邉淳アシスタントコーチの現役時代と同じモデルのものにした。細部へのこだわりで、好結果を引き寄せた。
 ジャパンでプレーした際は、自陣からの連続攻撃でスコアを記録するなど、出色の試合運びも披露。サンウルブズも率いるマーク・ハメット ヘッドコーチ代行からも、「成長した選手」と名指しされた。
 サンウルブズのシャークス戦を終えると、こう談話を残した。
「この試合だけじゃないですけど、サンウルブズは、コーチからプレゼンされたことをプレーしている時は、すごくいいアタックをしている。僕たちはそんなに大きくないし、フィジカルも強くない。ただ、それでもいいテンポでラグビーをしている時は、どのチームも止められない」
 運動量と細やかなチームプレーで勝つべきだという、世界における日本の立ち位置も再確認できた。
「もちろんもっと勝ちたかったし、もっと良くするところはあります。けど、ハマー(ハメット)と出会って、1日1日、小さいことを積み上げていった。皆、ポジティブだった。結果がなかなか出ない時期もありましたけど、これから日本のラグビーのためになるいい積み上げはできたと思います」
 身長181センチ、体重92キロのコンダクターは8月から、日本最高峰のトップリーグに挑む。
(文:向 風見也)

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