国内 2016.07.20

東京遠征の名護高が早稲田実業と練習試合 早実が12トライで大勝

東京遠征の名護高が早稲田実業と練習試合 早実が12トライで大勝
早実と名護の練習試合風景(撮影:見明亨徳)
 7月19日、東京・国分寺市にある早稲田実業グラウンドで、沖縄から遠征中の名護高校との練習試合がおこなわれ、早実が12トライの猛攻を見せ78−19と一蹴した。
 この練習試合は7月16〜18日に開催された「第3回全国高校7人制ラグビー大会」に沖縄県代表として出場した名護と、早稲田ファミリーとの交流の縁もあり、実現した。
 試合は前半開始から早実が0分、2分、5分と3連続ノーホイッスルトライを奪った。特にブレイクダウンでのターンオーバーからのトライを見せた早実が激しさで上回った。
 名護も6分に敵陣22メートルの内側、右ラインアウトから順目に回し、左中間インゴールへボールを運び追い上げムードになるかと思われた。
 しかし早実は、リスタートからまたもノーホイッスルでトライを決めるなど、33-14で前半を終えた。
 名護は前半の終わり近くで早実陣へアタックができるようになり、1トライを返した。
 後半も早実ペースは変わらず、開始直後も再びノーホイッスルトライ。結局、後半は7トライを奪い、計12トライで試合を終えた。
 名護と早稲田ファミリーの交流は32年前の1984年に始まった。
 当時、名護市職員だった岸本健男氏(その後、1998年から2期市長を務める。2006年死去)が、母校の早大ラグビー部に名護ラグビーの練習を見てくれるよう依頼した。以後、毎年7月を中心に名護の夏合宿にあわせて早大ラグビー部のコーチ、学生が名護を訪れ指導をおこなっている。
 名護高から早大ラグビー部の入部者はまだいないが、この機会で後藤禎和氏(早大前監督)らが練習を見た名護商工からFL宮里侑樹(2年生)が入学し、1年次から先発、アカクロのジャージーを着て主力選手となっている。
 この日も早実グラウンドには早稲田ファミリーから豪華な指導者が訪れ、名護をコーチした。
 昨季まで早大監督で名護での現地コーチングを担うワセダクラブ理事の後藤禎和氏、名護OBで早大コーチの銘苅信吾氏、加えて早大−九州電力とLOでプレーしラインアウトの理論派として知られる吉上耕平氏がそろった。
 試合後も豪華なコーチ陣のもと、名護中心のアタック、FW、BKに分かれての合同練習をおこなった。
 名護は18日までの7人制大会で、初日のプール戦はまさかの2敗(光泉戦:19−21、流経大柏戦:7−21)し、2日目からプール戦3位グループのボウルトーナメントへ回った。
 ボウル1回戦、岐阜工を26−19で下し、2回戦は飯田に17−5で。しかし準決勝で、個々のスキルで上回る常翔学園の前に12−47で敗れた。
 15人制では2013年以来の全国高校大会出場を目指す。ライバルは2大会連続出場のコザだ。名護は、今季すでに春季大会、高校総体と県大会は2冠。夏以降のレベルアップが課題となる。
 辺土名斉朝監督は「試合は、7人制から15人制にどれだけ切り替えられるかを見たかった。前半最初の失点は予想通り。7人制のディフェンスをそのままおこない、真ん中に寄り外をマークできなかった。後半は気持ちが入ることが無くなっていった。選手は早実のボールダウンやプレッシャーをかける基本スキル、それに対する体力が必要なことを経験できたと思う。またアタックができていなかったので後藤さんが合同練習でさっそくそこを見てくれた」と話した。
 後藤氏は「いまの力では県大会を勝ち抜くことは厳しい」と指摘する。
 早実は今季、東京都新人大会でベスト8、春季の都大会で4位に入り、実に1937年(第19回大会)以来の全国出場を目指す。
 大谷寛ヘッドコーチは「きょうは、敵陣に入ってからのスクラム、ラインアウトなどセットプレーからのアタックを試したかったができなかった。フェーズごとにプレッシャーをかけるなどいい兆候も見えた。今年は『ノーペナ』をテーマにしている。ブレイクダウンで無理に相手ボールを奪いにいってペナルティを犯すのはやめようと。ギリギリならば取りにいかなくていい。他の地区のチーム、全国レベルと合わせることで自分たちの全国での立ち位置がわかる。また相手が何をやってくるかわからないことで対応力も養える」と、こちらも夏以降の成長を目指す。
 今年の早大による名護でのコーチングは、7月25日から28日まで開催される。
(文:見明亨徳)

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ハーフタイムに名護に修正部分を伝える後藤氏(撮影:見明亨徳)

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吉上氏(奥の青いTシャツ)がラインアウトを指導(撮影:見明亨徳)

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