「豪州勢はラグビーをしてくる」。木津武士、「暑くなれ」。熱くなる。
今季最後のホームゲームで先発の座をつかんだ。キャプテンの堀江翔太がヒジを怪我したこともあるけれど、代役の意識はない。自分がスーパーラグビーレベルで戦えることは、とっくの昔に分かっている。
木津武士が、7月2日におこなわれる今季最後のホームゲーム、ワラターズ戦で2番を背負う。今季3試合目の先発に胸が高鳴る。しかし、日本代表43キャップを誇る27歳は落ち着いている。
「フッカーですから、まずはスクラム、ラインアウト。もちろん、ボールキャリーしたり、タックルで目立てたらいいけど、まずは自分に求められている責任を果たしたい。地味な仕事で目立ちませんがセットプレーを安定させて、チームがしっかりと戦えるようにしたいですね」
今季12試合のうち9戦に出場も、7試合は途中出場でプレー時間は249分にとどまっている。初めて先発が巡ってきたのは、ラウンド12のストーマーズ戦(チームにとっての10試合目/シンガポール)。ラウンド13のレッズ戦(ブリスベン)でも2戦連続で2番を背負った。
昨年からの長いシーズンを過ごして疲労が蓄積するも、リーダーとしてピッチに立ち続ける堀江について、尊敬の念を持って「あの人も譲らんタイプ」と言う。そんな人に、安心してポジションを任される存在でありたいし、出番を譲っていてはまずいと思われるライバルでいたい。
試合途中から出場するのは、何度やっても難しい。「(先に出ている選手たちとは)温度(テンション)が全然違うんですよ。それにすぐに追いつくのは簡単じゃない」と話す。
「でも先発だと、みんなと同じように(ゲームに)入っていける。ワラターズ戦、序盤が大切だと思っているので、その時間帯を安定させたいですね。フィジカルで負けず、相手を勢いづけないことが大事。引き離されると追いつけなくなりますから。暑くなるでしょう。この中で疲れるのは相手が先だと思います。粘っていれば相手は止まる。最初の20分、攻めながらも全力で守りたい」
勝利への道筋をしっかりと頭に描いている。
今季これまでの試合を振り返ると、南アフリカ勢にはクロスゲームに持ち込めることもあったが、オーストラリア勢には失点を重ねて負ける試合が多かった。その点について、「南アフリカのチームはスクラムにもこだわるし、真っ直ぐ来てくれるから、それを止めればなんとかなるんです。でもオーストラリアのチームはラグビーをしてくる。ブランビーズ(5-66で敗戦)は、『これがラグビーや』って言うてる感じでしたから。うまいし、はやいし、FWとBKがリンクしている」と体感を口にした。
試合が相手の時間になったら手をつけられなくなる。
「だから、自分たちのラグビーをさせたらダメなんです。ワラターズ戦は、自分たちのラグビーができたもん勝ち。あちらが本チャンメンバーで来るのも、サンウルブズのペースにはまったらいかんと思っているからでしょう。すごい湿気の中での試合になると思うので、フル回転でいきたいですね」
暑いのは苦手だ。
「だけど、相手がそれでしんどいんやったら、もっと暑くなってほしい」
勝利への貢献を誓う男は、「サンウルブズはタフなやつが多いですよ」と言った。