国内 2016.01.01

負けも薬。2季連続のトップリーグ勢撃破を前に、帝京大が大学選手権準決勝へ

負けも薬。2季連続のトップリーグ勢撃破を前に、帝京大が大学選手権準決勝へ
大学選手権7連覇を狙う帝京大の坂手淳史キャプテン(撮影:窪田亮)
 学生王者を決するラグビーの大学選手権は、2016年1月2日、東京・秩父宮ラグビー場で準決勝を迎える。現在6連覇中で2季連続のトップリーグ(国内最高峰)勢撃破を目指す帝京大は、NO8アマト・ファカタヴァら強力なランナーを擁する大東大と激突する。
 秋の関東大学対抗戦Aでは明大に49-32と大量失点し(11月15日/秩父宮)、筑波大には17-20と敗戦(11月29日/東京・上柚木陸上競技場)を喫した。もっとも岩出雅之監督は、「負けて、気持ちが入るんと違いますか?」と泰然自若だ。筑波大戦では、肉弾戦での相手の粘りに面食らった。タックラーが立ち上がらずにその場の肉弾戦に突っ込むという、観方によっては反則と取られかねない防御方法があったとし、指揮官はこんな見解を示唆した。
「一発勝負ならそうしたプレーも省く(やらせないような対策を準備する)のだけど、あの試合ではその辺が甘かった。周りに責任を押し付けても仕方がない。我々が甘かった。それに尽きる」
 長野・菅平高原での夏合宿中だった8月16日は、トップリーグ王者のパナソニックとの練習試合を35-24で制している。相手は各国代表組を欠いていたものの、固定レギュラーを選考中の帝京大はぶつかり合いでほぼ互角だった。
 エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチに強烈なタックルを評価されてきたHO坂手淳史主将も、チームの底力に強い自信を持つ。4季ぶりに学生に負けたあの日のことを、こんなふうに相対化していた。
「そんなに焦りはなかったのですが…。皆、自分のなかに閉じこもってしまっていた。試合前日までの練習は気合が入っていたのですが、当日のウォーミングアップで、なぜか抜けた感じがありました。監督も察知されていて、その場では何も言われなかったのですが、ゲームが終わった後に『お前が観ないとアカンところだ』と指摘されました。チームのメンタル状況を察知する、感じる力が必要だと考えさせられました。(再戦すれば負けないとの自信は、と聞かれ)戦いなので、そういう気持ちは皆が持っていると思います」
 12月の大学選手権セカンドステージでは快調に白星を重ね、3試合の得失点差を229とした。今度ぶつかる大東大にはインパクトのあるランナーが揃うが、帝京大には同種の相手とぶつかる場合の常道の対策がある。肉弾戦で球出しを遅らせ、その間の守備網形成で走り屋の好むスペースを塞ぐのである。自身も同じポジション出身で「FLには厳しい」という岩出監督のもと、FLマルジーン・イラウア、FL/NO8ブロディ・マクカラン、FL飯野晃司が激しいブローを磨いてきた。相手のジャイアントキリングを防ぐには、この3人がキーマンとなろう。新人ながら対抗戦7試合で17トライとブレイクしたWTB竹山晃暉は、「(筑波大戦の直後は)ここからもっと強くなるだろうな、と。1年なのでチームのことは詳しく言えないですけど、自分も成長すると思いました」と話す。
(文:向 風見也)

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