国内 2016.01.01

16シーズンぶりにトンガ人旋風? 大東大が帝京大とぶつかり合う!

16シーズンぶりにトンガ人旋風? 大東大が帝京大とぶつかり合う!
大東文化大のキーマンとなりそうなNO8アマト・ファカタヴァ(撮影:窪田亮)
 関東大学リーグ戦1部屈指の人材のサラダボウルである大東大は、2016年1月2日、16大会ぶりに大学選手権の準決勝に挑む。6連覇中の帝京大を相手に、どこまで持ち味を発揮するか。
「何が出てくるかわからない、一発がある、抜けないところを抜ける、ってところかな」
 1981年から2001年までの監督在任期間中に3度の大学日本一に輝いた鏡保幸特別顧問は、クラブの普遍的特徴をこう説明する。かつてはトンガ人留学生を数多く入学させ、日本ラグビー界に「モスグリーン旋風」を巻き起こした。海外出身選手を日本のラグビー界が育てる、その礎を作った。
 青柳勝彦監督とともに現場復帰を果たした13年度以降は、伝統色に即した攻めをアピールしてきた。グラウンドの左右に散らばる国際色豊かなランナーにあって、オールドファンの注目を集めるのはCTB/WTBラトゥ クールガー。80年代に活躍した元日本代表NO8のシナリ・ラトゥの長男で、日本国籍を保持。プレー選択の的確さでスペースを切り裂く。
 守備を看板とするパナソニックでストレングス&フィットネスコーチだった青柳監督は、「アタックは一発がある。あとはディフェンス」と言い続けてきた。今季、その課題を一気に改善したのが、12月13日開幕の大学選手権セカンドステージの直前だった。リーグ戦1部を4位で終えてからの約2週間、鋭く前に出る守備を改めて練習。結果、リーグ戦では約32.6だった1試合平均失点が、選手権では22.3に減った。身長166センチと小柄なタックラーであるFL河野良太が持ち味を発揮し、現役時代によく似たプレースタイルだった指揮官は「前に突き刺さるタックルがいい」と称えた。
 選手権ではエースのWTBホセア・サウマキが故障のため欠場していた。しかし、2つある外国人枠をLOタラウとNO8アマトのファカタヴァ兄弟が埋めた。特に、来日前にニュージーランドでプロ契約の誘いがあったというNO8アマトは身長195センチ、体重103キロのサイズで軽快なステップを踏む。身長188センチ、体重95キロにして50メートル走を5秒台で走るLO長谷川崚太も、終盤戦にきて調子を上げてきた。
「ずっと出ていたメンバーが皆を引っ張っていかないと。声だけではなく、行動で引っ張っていく」とは、SH小山大輝である。鋭いサイドアタックを長所に1年目からレギュラーとなった3年生のリーダーだ。帝京大が接点際で圧力をかけるなか、SHがいかに次の攻撃を運用させるか。格上の相手にぶつかるチームの見どころの1つとなる。「(マークされていても)抜いてやろう、と」というSH小山は、夏場にこんな勝利の方程式をイメージしていた。
「うちは日本人でもいいスキルを持った選手がいる。(外国人留学生に)走るスペースを与えるのが大事かな、と。FWのところで相手を巻き込んで、(接点から)遠いチャンネルで勝負…と」
 準決勝は14時10分、キックオフ。
(文:向 風見也)

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