国内 2015.12.29

筑紫、秋田中央、光泉などがシード校への挑戦権獲得! 勇敢な初挑戦者は敗退

筑紫、秋田中央、光泉などがシード校への挑戦権獲得! 勇敢な初挑戦者は敗退
長崎北陽台に果敢に挑んだ函館ラ・サール(撮影:松本かおり)
 東大阪市花園ラグビー場で開催されている第95回全国高校ラグビー大会は、2日目(12月28日)に1回戦の残り試合がおこなわれ、記念大会枠からの出場となった筑紫(福岡)と京都成章、四国王者のつるぎ(徳島)、古豪の黒沢尻工(岩手)や大分舞鶴などが勝って30日の2回戦進出を決めた。初出場の函館ラ・サール(南北海道)と東京朝鮮(東京第2)の勇敢なチャレンジは一歩およばず、25年ぶりの出場となった東海大相模(記念大会枠・神奈川)はサヨナラPGで涙をのんだ。
■明和県央(群馬) 44-12 土佐塾(高知)
 チーム史上初の全国8強入りを目標とする明和県央が1回戦を突破した。開始早々にモールで押し込み先制すると、前半15分にはラインアウトスチールから展開してWTB澤田元がトライ。プレーに硬さが見える土佐塾に対し、主導権を握った明和県央は後半5分までに5連続トライを挙げ、勝負を決めた。

seki

関商工×高松北(撮影:松本かおり)
■関商工(岐阜) 68-0 高松北(香川)
 東海大会準優勝の関商工がキックオフ直後からプレッシャーをかけ続けた。前半1分、ゴール前スクラムから先制。11分には自陣深くでターンオーバーしたあと高校日本代表候補のSH多賀慈綺が走りでチャンスメイクし、WTB大野豪のトライを演出した。同じく高校ジャパン候補のPR森島寛高を筆頭に、FWもアグレッシブで、計10トライを挙げて高松北を圧倒した。
■秋田中央(秋田) 68-3 広島工業(中国・広島)
 春のセンバツ大会で國學院栃木、尾道、佐賀工といった強豪校と好勝負を繰り広げた秋田中央が、記念大会枠で9年ぶりの出場となった広島工業を圧倒した。
 得点源はFWの強力モールだけではなく、BKも躍動。前半14分、秋田中央は自陣深くからのカウンターでCTB船木大夢が大きくゲインし、SO小山田陸人につないで追加点を奪うと、23分にもカウンター攻撃でFB夏井勇大が長い距離を走り切ってリードを広げた。29分もキック処理から展開して突破し、トライ。後半早々にはブレイクダウンでターンオーバーしてからすぐに回して得点し、その後もよくつないで快勝発進となった。
 秋田中央は2回戦で関東王者の桐蔭学園(神奈川)と対戦する。
■筑紫(九州・福岡) 26-19 東京朝鮮(東京第2)
 初出場の東京朝鮮が前半6分にモールで押し込み先制。しかし12分、ゴールに迫る相手ランナーを猛追して止めようとした選手がハイタックルでシンビンとなり、その数分後、筑紫にキックパスを使われトライを奪われた。リスタートのキックオフでも危険なプレーがあった東京朝鮮は2枚目のイエローカードをもらい、13人に。好機となった筑紫はワイドに攻め、ゴール前のラックからPR北隼人が強引に穴をこじ開けて勝ち越した。勢いづいた筑紫は22分にもトライ。歴史的初勝利をめざす東京朝鮮はその後、磨いてきたモールで同点に追いついたものの、後半25分、筑紫が敵陣22メートルライン内でのラインアウトボールを確保して前進し、モールでトライラインに迫り、NO8久保山幸樹がインゴールに突っ込んでこれが決勝点となった。
 24年ぶりに花園で笑った筑紫は、2回戦では春のセンバツ準優勝の大阪桐蔭(大阪第2)に挑む。
■大分舞鶴(大分) 43-20 岡谷工業(長野)
 NO8幸重天キャプテンのトライで先制した九州の古豪は、前半12分、ラインアウトからの展開で高校日本代表候補のWTB矢野湧大がしなやかに走り、追加点。モールでリードを広げた直後の前半29分には、U17日本代表を経験している俊足の2年生FB薬師寺晃が自陣深くから軽快なステップとスピードで80メートル以上を走り切った。岡谷工は後半、鍛えてきたモールで3トライを返したものの、最後は大分舞鶴のCTB安部武がパスカットしてチーム7トライ目を挙げ、23点差での決着となった。

hikawa

日川×コザ(撮影:松本かおり)
■日川(山梨) 38-19 コザ(沖縄)
 8強入りをめざす花園常連校の日川が2回戦に進んだ。5点を追う日川は前半12分、粘り強くつないで敵陣深くに入り、いったんはボールを失ったもののキックチャージからSO郡司健吾がインゴールで押さえた。前半さらに2トライを追加。追う立場となったコザは後半早々にゴール前のラックからつないでSO又吉恒太がスコアラーとなり、相手がシンビンで1人を欠いている間に攻めて同点としたものの、直後の後半18分、日川はスクラムからつないでSO郡司が勝ち越しトライを挙げ、終盤にも地力を発揮して逃げ切った。
■関西学院(兵庫) 18-7 茗溪学園(茨城)
 鉄壁のディフェンスで序盤の茗溪学園の攻撃を耐えた関西学院は、PGで先制したあとの前半21分、22メートルライン外からFB碓井恒平が相手防御網を破り、ゴールに持ち込んだ。その後、関西学院はイエローカードをもらって14人での戦いを余儀なくされた時間帯があったが、堅守は続いた。がまん比べのような一進一退の攻防のなか、茗溪学園は後半15分にゴール前ラックからNO8三輪侑史が突っ込んでボールをねじ込み、ようやくトライを挙げる。しかし関西学院が後半21分、ラインアウトからFWが前進したあと展開して、SO房本泰治のロングパスを受けたCTB金森壮太朗が突破して勝利を引き寄せるトライを獲得。残り時間を守り切った関西学院が5年ぶりの勝利で2回戦進出を決めた。
■つるぎ(徳島) 45-12 若狭(福井)
 ベスト16入りをめざした若狭だが、歓喜したのは四国王者のつるぎだった。前半3分、若狭のラインアウトが乱れ、ボールを確保したつるぎがカウンター、キックをうまく使ってチャンスとなり、WTB遠藤凌が走り切って先制した。つるぎはさらに10分、敵陣での相手ボールスクラムをターンオーバーしてFWが攻め込み追加点。13分にはブレイクダウンでボールを取り返したあと、WTB遠藤がキックチェイスに競り勝ってリードを広げた。つるぎは後半4分までにさらに3トライを加え、勝負を決めた。
 敗れた若狭だが、終盤、チーム一体となってのアタックで2トライを挙げ、福井県代表としての意地を見せた。
■京都成章(近畿・京都) 34-7 日本航空石川(石川)
 京都府予選で伏見工業に惜敗し、記念大会枠での出場となった京都成章だが、5月のサニックスワールドユースでは国内勢最高の5位、夏の全国7人制大会では準優勝するなど頂点を狙える力はあり、1回戦で北信越王者の日本航空石川に快勝した。
 京都成章は前半6分、相手ボールのラインアウトをNO8相川純平がスチールし、力強いモールドライブで先制。キャプテンのCTB本郷泰司が足首を痛め負傷交代するアクシデントがあったが、19分、相手落球を拾ったCTB小椋統平が無人のエリアに大きく蹴り、自らチェイスして競り勝って追加点を挙げた。
 日本航空石川は21分、FB江本洸志と高校日本代表候補WTBシオサイア・フィフィタのランでようやく活気づき、テンポよくつないで最後はWTBフィフィタがゴールへ駆け込みスコアボードを動かした。
 しかし京都成章はすぐにトライを奪い返し、28分にはディフェンスで前に出てSH貴島由良がインターセプトトライ。スピーディーなラグビーで後半も支配し、2回戦進出となった。
■長崎北陽台(長崎) 42-12 函館ラ・サール(南北海道)
 初出場の函館ラ・サールは高校日本代表候補3人を擁する長崎北陽台を倒すことはできなかった。開始早々に突進力ある副将のPR江頭翔太朗が無念の負傷交代。北の勇敢なチャレンジャーは序盤から敵陣に攻め込み、PGでの先制チャンスを得るも、失敗して勢いに乗れなかった。しかし、13点ビハインドで迎えた前半24分、スクラムからテンポよく右につないでWTB安田拓来が記念すべき初得点。後半14分には自陣でのラインアウトからゲインして連続攻撃でゴールに迫り、HO六車高寧が仲間の後押しを受けてトライを獲得した。
 結局、FW・BKが充実している長崎北陽台に敗れた函館ラ・サールだったが、憧れの聖地で60分間を精いっぱい戦い抜き、スタンドから大きな拍手が送られた。
■静岡聖光学院(静岡) 105-0 倉吉北(鳥取)
 1年前、東福岡相手に100失点の大敗を喫した静岡聖光学院が、昨年と同じ対戦カードとなった倉吉北との1回戦で今度は自分たちが100点ゲームをやってのけた。前半3分の先制を皮切りに、計17トライ。スクラム、ラインアウトアタック、ブレイクダウンのファイトで圧倒。左ひざの前十字靭帯断裂から復活した身長190センチの高校日本代表候補FB影山駿介は後半から出場し、2トライを決めている。
 静岡聖光学院は2回戦でシード校の國學院久我山(東京第1)と対戦する。

asake

朝明×鹿児島実業(撮影:松本かおり)
■朝明(三重) 64-7 鹿児島実業(鹿児島)
 学校創立100周年で嬉しい報告をしたかった鹿児島実業だが、10大会ぶりの勝利をめざした朝明に大敗した。
 PGで先制した朝明は前半7分、ブレイクダウンでボールを奪い返し、NO8芝弘太郎が大きくゲイン、WTB大野友嵩につないで最初のトライが生まれた。10分と22分にはターンオーバーからFB大野聖が突破し、11番の大野友嵩がゴールへ駆けるシーンが続いた。FWはモールでも威力を発揮し、FL助田凌雅らの好走も光った。
 鹿児島実業は後半5分、スクラムからの展開でWTB野村慶太が走り切り1トライを返したが、悔しさを胸に花園をあとにした。

■黒沢尻工業(岩手) 25-7 萩商工(山口)
 全国準優勝1回、ベスト4入り5回の戦績を持つ古豪・黒沢尻工が4年ぶり出場で初戦を突破した。黒沢尻工は得意のモールを使って先制したものの、前半13分、18分と危険なタックルで2人がイエローカードをもらい苦しい時間帯があった。27分に萩商工がトライを挙げ、逆転。それでも、黒沢尻工は前半終了前に鍛えてきたモール攻撃ですぐに取り返して流れを変え、後半15分にはFWがオフロードパスでつないでトライ。その後PGでスコアを重ね、2回戦進出を決めた。
 30日、黒沢尻工は前年度王者の東福岡(福岡)にチャレンジする。
■光泉(滋賀) 13-10 東海大相模(関東・神奈川)
 記念大会枠で25年ぶりの出場となった東海大相模だが、サヨナラPGで敗れた。前半に光泉がモールドライブを活かして得点すれば、東海大相模は後半早々にラインアウトからのアタックでゲインラインを突破し、PR八重樫拓がトライ。シーソーゲームは最後までもつれ、10-10で迎えた後半30分、相手の反則により、光泉が敵陣10メートルライン付近でPGチャンスを得る。重圧がかかるなか、高校日本代表候補である副将のCTB溝尻航太が40メートルのショットを決め、劇的な幕切れとなった。
 光泉は2回戦でシード校の國學院栃木と対戦する。

kosen

光泉×東海大相模(撮影:松本かおり)

PICK UP