国内 2015.12.28

蹴られたら倍返し! 秋田中央高、大勝発進で桐蔭学園高へ挑む

蹴られたら倍返し! 秋田中央高、大勝発進で桐蔭学園高へ挑む
秋田中央はゲームを支配し計10トライ(撮影:松本かおり)
 かつて猛タックルで鳴らした古豪を、組織力で一蹴した。12月28日の大阪・花園ラグビー場での全国高校ラグビー大会1回戦で、秋田・秋田中央高(2年連続10回目)は広島・広島工高(9年ぶり32回目)に68-3で勝利。30日は、一昨季に準優勝したシード校の神奈川・桐蔭学園高(2年ぶり14回目)とぶつかる。
 蹴られても、蹴られても、その弾道の先にはパッションピンクのジャージィが立っていた。古谷和義監督の戦前の見立てによれば、「キック処理は今日の鍵になるだろう」。エリアを獲得したい相手の思惑を、意志統一された動きで阻んだ。
 足でのラリーを重ねるなか、相手守備網の乱れを端的に突いた。7-3とリードして迎えた前半14分、自陣22メートル線付近中央でCTB船木大夢副将が捕球。カウンターアタックが評価され、守備時はFBに入って相手のキックに備えることとなっていたのだ。この瞬間も、一気にギアを入れる。敵陣22メートルエリアまで加速。SO小山田陸人のトライなどで、14-3とした。
 得意のモールなどでもスコアを重ねて迎えた前半23分にも、蹴り合うなかでの「仕掛け」が冴えた。
 広島工高がハイパントの捕球などで陣地を進めた後、秋田中央高は自陣22メートル線上の接点で圧力をかける。モール形成を阻み、相手が局面打破のために蹴ったボールを捕球し、カウンターアタック。ここから右へ大きく展開し、CTB船木副将がまたもビッグゲインした。最後はFB夏井勇大がインゴールを割るなどし、21-3とリードを広げた。指揮官はこうも言った。
「ただ蹴り合いしていたら相手のペースになる。空いていたら、仕掛けよう、と。試合途中から、その流れを作ってくれた」
 結局、モールなどでも加点し、大勝。しかし、選手を集めた古谷監督は、「ミスが多かった。次は、こう(大差での白星)はいかないよ」。関東の雄を前に、気を引き締めた。
「スコアはしていましたが、イージーエラーもあった。次はマイボールの時間は長くならない。自分たちのボールを大切に扱いたい、と。チャレンジはいいけど、雑になってはいけない」
 CTB船木副将に加え、CTB大樹、FB勇大の夏井兄弟など切れのあるランナーを揃えた秋田中央高。指揮官は「立ち上がりから身体が動いていた。1人ひとりがいい走りをしていた」と前向きな要素も口にしていた。クラブ史上2度目の8強入りへチャレンジする。
(文:向 風見也)

PICK UP