国内 2015.12.12

全勝パナの「プロジェクト」は12日、東芝とのスクラム合戦に新PRが挑む

全勝パナの「プロジェクト」は12日、東芝とのスクラム合戦に新PRが挑む
プロップとして成長中。パナソニックのヴァル アサエリ愛(撮影:BBM)
 国内最高峰のラグビートップリーグは、計16チームを2つの組に分けたリーグ戦が第4節まで終了。グループAに入った昨季王者のパナソニックは、ここまで全勝。総勝点を20とし、単独首位に躍り出ている。12月12日の第5節では、東京・秩父宮ラグビー場で昨季4強の東芝と激突する。
 元オーストラリア代表のSOベリック・バーンズや南アフリカ代表として今秋のワールドカップイングランド大会に出場したCTBのJP・ピーターセンら、強豪国の大物が持ち味を発揮。同大会で活躍した日本代表勢も気を吐いている一方、選手層の厚さも示している。11月29日、第3節のリコー戦(群馬・太田市陸上競技場)ではそれまでの2戦から3人も先発を入れ替えて59-28と勝利した。
 時間単位で大幅なメンバーチェンジをおこなった開幕前の練習試合の後、就任2年目のロビー・ディーンズ監督はと大らかな口調で話していた。
「ワイルドナイツ(パナソニックの愛称)のプログラムがうまくいっている証拠です。レギュラーが怪我をしても、控えの選手の準備ができている」
 もちろん、細やかな連携の不備は見え隠れする。試合の流れが決まって一部の主力が退いたのちに、トライを許す場面もある。堅守速攻型のチームにあって、田邉淳BKコーチは「昨季は最も失点の少ないチーム(リーグ戦期間中、1試合平均14.4失点)だったのですが、今年はちょっと多いですね(ここ4戦で1試合平均22.0失点)」と指摘する。
 リコー戦でゲーム主将を務めたWTB北川智規副将も「まだまだもっと進化できる」と強調。日本代表副将でもあるHO堀江翔太主将も、「勝ったからと言っても、直さなあかんところはある」と反省を忘れない。
 12月5日、埼玉・熊谷ラグビー場。全勝対決だったNTTコムとの第4節を35-28で制した際は、中長期的な視野でこんな話をしていた。
「(失点した場面は)僕らの反則など、自分たちの何かから向こうの有利が生まれた。そこを修正すれば、何とかなる。リザーブの選手が反則をしてしまったのも、いい経験。ただ、自分たちで自分たちの首を絞めないようなゲームをしていきたいですね」
 成長株はトンガ出身のPRヴァル アサエリ愛。埼工大卒の3年目で、今季の開幕から約3週間前にNO8から転身。スクラムでは最前列を担うPRは、専門職の趣が強い。一線級の戦いでは経験者ほど優勢になりがちだが、NTTコム戦では後半から登場したヴァルが強い押し込みを披露。「始めたばかりですが、いろんなチームと組んできて…行けると思いました」と笑みを浮かべる。
「自分のパワーで(FWの)8人の塊をひとつにして、押し返そうとしています」
 今度ぶつかる東芝は、日本代表のHO湯原祐希を軸にまとまったスクラムを組む。PRヴァルはリザーブ入り。
(文:向 風見也)

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