国内 2015.11.08

全国高校大会東京都予選 久我山が2大会連続花園へ、東京朝高は初の全国出場!

全国高校大会東京都予選 久我山が2大会連続花園へ、東京朝高は初の全国出場!
東京朝高の勝利を決めた後半18分のビッグプレー。FL南がキックチャージからトライを奪った
(撮影:見明亨徳)

 11月8日は「第95回全国高校ラグビー大会東京都予選(第1地区、第2地区)」の決勝2試合が秩父宮ラグビー場でおこなわれた。
 第1地区は5大会連続出場を目指す東京高と同2大会連続となる國學院久我山高が対戦。後半終了間際のラストプレーで東京がラインアウト、モールからトライを奪い、12-12の同点に追いついた。会場が静まる中、トライ後のコンバージョンを狙った東京FB山菅一史のキックが外れ、同点でノーサイド。両校優勝となったが、抽選により久我山が全国大会出場切符を手に入れた。
 第2地区は初出場をかける東京朝鮮高と26大会ぶりの古豪復活へ燃える明大中野高の対戦。前半から朝高が得意のモールで後半3分までに3連続トライを奪い、19-0とした。明中はその後、お返しにモールから2トライを返し、15分までに19-10へ。明中が優勢となったかに見えたが、18分、朝高FL南成冠(ナム・ソングァン)が明中キックをチャージし、勝利を引き寄せるトライを奪った。朝高は29分にPGで3点を加え、29-10で初出場を勝ち取った。

■第1地区 東京高 12-12 國學院久我山高(前半7-5)
 〔東京2T1G、久我山2T1G〕
 先制は久我山。2分、東京陣内の左ラインアウトから順目の右へ回し、反対の左へ返すと、WTB安部勇佑が先制トライを決めた。雨の中、互いにボールが手に付かない展開が続く。東京は8分に久我山陣10メートルのスクラムからサイド攻撃を続け、SH春野日向がトライラインを越え、同点。コンバージョンも決まり7-5と逆転した。
 後半に入ってもお互いに攻めあぐねる。それでも14分、久我山がハイパントを受けた右WTB山同走がライン際をゴールライン直前まで迫る。東京のタックルの反則に久我山はすぐに左へ回すと、WTB安部が2本目のトライを奪い、コンバージョンも決まり再逆転した。
 あきらめない東京は28分すぎから久我山の反則でゴール前ラインアウト、モールで攻め続けた。そしてロスタイムに主将のFL石渡健吾がファイブポインターとなったが、同点で終えた。
 抽選で久我山が全国大会へ。
 久我山の竹内伸光監督は「準決勝から接戦を戦ってきて選手も意識が変わった。(花園は)東京の分まで、というおごりを持った言葉を使わずに、あくまでうちのラグビーをやりきろうと選手に話した」と述べた。

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東京高は終了間際のトライで追いつくも抽選で出場を逃した(撮影:見明亨徳)

■第2地区 東京朝鮮高 29-10 明大中野高(前半14-0)
 〔東京朝高4T3G1P、明中2T〕
 FWのモールから得点を取り切ろうと愚直に攻める東京朝鮮高。前半5分に早くもゴール前5メートルのラインアウトを得る。モール、ラックとFWがサイドを突き続け、主将のPR文太陽善(ムン・ヤンソン)がトライラインを越えた。コンバージョンは準決勝でサヨナラPGを決めたCTB金基英(キム・キヨン)が確実に決めた(7-0)。
 12分以降も朝高が明中陣内で試合を優位に進める。12分にゴール前22メートルでPKを得てもPGを狙わずにラインアウトへ。モールからトライを奪おうとする。しかしノックオンなどでチャンスを数回逸した。ようやく28分にPKからラインアウトを選択し、モールを組むと、NO8文相太(ムン・サンテ)がインゴールへ持ち込み5点を追加、金のゴールキック成功で14-0となった。終了間際の明中の攻めをしのぎ、14-0で前半終了。
 後半に入ってすぐ、朝高がラインアウトを得ると25メートルを押し込み、NO8文が2本目のトライで19-0とする。セーフティーリードにしようと朝高は攻めた。
 それでも、明中は6分にようやく朝高陣へ入り、ラインアウトからモールで押し、主将のHO内山理夫が左中間に5点を返した(14-5)。息を吹き返した明中はBKにボールを回し、朝高陣へ入る。15分、ラインアウトからモールと朝高のお株を奪い、LO荒嶋秀典がトライを返し、19-10となった。流れは明中へ傾きかけた。
 そこでビッグプレーが起きた。朝高・呉昇哲(オ・スンチョル)監督が「狙わせていた」という18分、朝高FL南成冠(ナム・ソングァン)が明中キックをチャージし、ボールを確保して中央ポスト下に飛び込み、ゴール成功で26-10とする。朝高は29分に金のPGで3点を加え、29-10。ノーサイドの笛が鳴り、歓喜の中、初出場を勝ち取った。
 呉監督は 「創部40周年の記念の年に全国大会を決めることができた。学生、学校関係者に感謝します。22年前に朝高に予選出場の道を開いていただいた日本のラグビー関係者に恩返しがようやくできた。全国大会まで1か月半、出場経験がある方に聞いて過ごしていきたい。元旦を花園で迎えたい(3回戦進出)」と期待を述べた。
 先制トライを決めた文主将は「本当にうれしい。目標は全国大会優勝です。花園で大阪朝鮮と東京朝鮮が対戦し、会場を同胞で埋めるという夢の一歩が実現できました」と花園への思いを語った。

(文:見明亨徳)

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