ワールドカップ 2015.10.18

ウェールズの堅守、ついに崩れる。 南アが終盤の逆転トライで準決勝進出!

ウェールズの堅守、ついに崩れる。 南アが終盤の逆転トライで準決勝進出!
南ア代表LOエツベスの突進を止めるウェールズ代表のFLウォーバートン主将(撮影:早浪章弘)

 “赤いレンガ”とも呼ばれるウェールズ代表の堅い守りを、南アフリカ代表が残り5分のところでこじ開け、23-19で逆転勝ちした。英国・トゥイッケナムで17日におこなわれたラグビーワールドカップ2015準々決勝の第1試合。相手のディフェンスに苦しんだ南アだったが熱闘を制し、優勝した2007年大会以来のベスト4入りだ。

 序盤は南アがリードした。SOハンドレ・ポラードがPGを決めて得点を重ねた。
 しかし9-3で迎えた前半18分、ウェールズのSOダン・ビガーがハイパントを自ら確保して敵陣22メートル内に攻め込み、SHガレス・デーヴィスにつないでトライが生まれた。コンバージョン成功で9-10となる。
 そのあと、ポラードのショット成功で南アが再逆転したが、赤いジャージーのビガーが前半終了前にドロップゴールをねじ込み、12-13、ウェールズのリードで折り返した。

 後半が始まり、南アが敵陣でプレーする時間帯が続いたが、ウェールズのハードディフェンスはしばらく崩れなかった。タックル数は南アの倍近い189回。フィジカル強い南アがゲインとパスを重ねてゴールラインに迫っても、ウェールズはぎりぎりでターンオーバーした。

 しかし、相手SOビガーにショットを決められ、12-16とされていた南アだったが、チームの頭脳と呼ばれる新主将のSHフーリー・デュプレアは落ち着いていた。ウェールズの堅守が続いていた52分、トライに固執せず、SOポラードにドロップゴールを狙わせ、15-16と1点差に詰める。
 南アのキッカーを務める21歳のブーツは決して絶好調ではなかったが、ポラードは62分にもPGを決め、逆転。数分後、ウェールズもSOビガーがショット成功で18-19と再び試合はひっくり返ったが、74分すぎだった。南アがついに赤いレンガを崩した。
 敵陣22メートル内でスクラムチャンスとなった南ア。NO8デュアン・フェルミューレンがボールを持ち出して突進し、ウェールズのSHロイド・ウィリアムズが足元にからみ、右WTBアレックス・カスバートも止めに行く。が、南アはそれを狙っていた。スペースが空いた左へSHデュプレアが走り、NO8フェルミューレンから鮮やかなフリックパスをもらってインゴール左隅に飛び込んだ。決勝トライ。

 その後、南アはしぶとい守りでウェールズの反撃を封じ、最後はブレイクダウンでターンオーバーして、歓喜の瞬間を迎えた。

 チームに勝利をもたらした南アのデュプレア主将は、「本当に厳しいゲームだった。(ウェールズの堅い守りに対して)我々は押して、押し続けなければならなかった。しぶとく攻め続けていれば得点できると思っていた」と激闘を振り返る。8年ぶり3回目の優勝まであと2つ。「日本戦(の敗北)から気持ちを切り替え、ここまでたどり着いた。今日のような気持ちがあれば、今後も我々を助けてくれそうだ」と語った。

 一方、多くの主力選手が相次いで故障するという困難に見舞われながら、プールステージの最激戦区を突破したウェールズだったが、2大会連続のベスト4入りはならず。それでも、サム・ウォーバートン主将は潔かった。
「怪我を(敗因の)理由にしたことはない。交替で入った選手たちは素晴らしいプレーをした。ここ4、5か月、ものすごい練習量をこなしてきた。非常に厳しいトレーニングだった。我々は完全に力を出し切ったと思う。(南ア戦は)僅差になることはわかっていた。今日の試合は抜きつ抜かれつの展開だったが、彼らが最後の5分で我々を負かしたのだ」

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