ワールドカップ 2015.10.16

1999、2007年の悪夢を忘れたいNZ。 フランスはまた不協和音?

1999、2007年の悪夢を忘れたいNZ。 フランスはまた不協和音?
2007年大会の準々決勝で激突したフランスとNZ。このときも会場はミレニアムスタジアムだった
(Photo: Getty Images)

 ラグビーワールドカップ史上初の連覇まであと3勝となったオールブラックス(ニュージーランド代表)だが、北半球開催の大会ではいい思い出がない。前王者として臨んだ1991年大会(イングランドなどで開催)は準決勝敗退。1999年のウェールズ大会は4位に終わり、2007年のフランス大会はワーストの準々決勝敗退だった。
 過去、ワールドカップでオールブラックスを倒したことがあるのは3か国のみ。オーストラリア代表(1991:準決勝、2003:準決勝)と南アフリカ代表(1995:決勝、1999:3位決定戦)は南半球でしのぎを削ってきたライバルだが、北半球勢で唯一のチームがフランス代表だ。予測不能の“レ・ブルー”は、1999年大会準決勝で黒衣軍が手をつけられないほど勢いに乗り、2007年大会はハカに堂々と対峙して80分後、またもニュージーランドの夢を砕いた。

 そして、英国で開催されている2015年大会。10月17日にカーディフ(ミレニアムスタジアム)でおこなわれる準々決勝で、ニュージーランド代表とフランス代表が再び激突する。
 フランスは今大会のプールステージでアイルランドに敗れ、D組を2位通過でベスト8入りしたが、ノックアウトステージでは別の生き物となる。4年前のニュージーランド大会もプール戦でトンガ相手に黒星を喫したものの、トーナメントではイングランドとウェールズを下して決勝に進み、栄冠は手にできなかったが、自国開催で優勝候補本命だったオールブラックスを7-8と苦しめた。

 はたして、今回の勝負の行方はいかに。

 ニュージーランド代表のスターティングメンバーには、下半身を痛めていた主将のFLリッチー・マコウが戻ってきた。経験豊かなメンバーが多く、146キャップ目となるマコウのほかに、SOダン・カーター、NO8キアラン・リード、LOブロディー・レタリックと、ワールドラグビーの年間最優秀選手賞に輝いた者が4人もいる。先発15人のキャップ総数は988。
 プールマッチ最後のトンガ戦でハムストリングを負傷した118キャップのPRトニー・ウッドコクが離脱したが、フロントローの層は厚い。
 CTBは2011年大会決勝でも先発したマア・ノヌー&コンラッド・スミスのコンビ。チームには3人の優れたフィニッシャーがいるが、WTBはジュリアン・サヴェアとネヘ・ミルナースカッダーがポジションをつかんだ。

 フランス代表はCTBマチュー・バスタローをベンチで温め、昨年11月に代表デビューしたばかりのアレクサンドル・デュムランが13番を着る。司令塔は、2007年大会でオールブラックスを翻弄したSOフレデリック・ミシャラク。今大会のプール戦ではセバスチャン・ティルボルドが9番をつけることが多かったが、リーダーシップがあり、FWをうまくコントロールできる65キャップのSHモルガン・パラが先発する。パラは2011年大会の悔しさを知るひとりで、SOミシャラクやFBスコット・スペディングと同様にゴールキッカーとしても使える。
 主将は、4年前のリベンジに燃えるFLティエリ・デュソトワールだ。2007年大会のオールブラックス戦ではこの男が38回のタックルを放って勝利に貢献しており、フランスのカギを握る闘将である。

 一部報道では、「フィリップ・サンタンドレ ヘッドコーチのリーダーシップに対して信頼を失っている選手たちが、指揮官の指示を無視している」と伝えられているが、フランスは前回大会でも同じようにヘッドコーチと選手の間で摩擦が生じ、不協和音が取りざたされたが、決勝進出を果たした。今回の報道が真実だとしても、どう影響するかはわからない。

<ニュージーランド>

15 Ben Smith, 14 Nehe Milner-Skudder, 13 Conrad Smith, 12 Ma’a Nonu, 11 Julian Savea, 10 Daniel Carter, 9 Aaron Smith, 8 Kieran Read, 7 Richie McCaw(主将), 6 Jerome Kaino, 5 Sam Whitelock, 4 Brodie Retallick, 3 Owen Franks, 2 Dane Coles, 1 Wyatt Crockett

〔控えメンバー〕
16 Keven Mealamu, 17 Joe Moody, 18 Charlie Faumuina, 19 Victor Vito, 20 Sam Cane, 21 Tawera Kerr-Barlow, 22 Beauden Barrett, 23 Sonny Bill Williams

<フランス>

15 Scott Spedding, 14 Noa Nakaitaci, 13 Alexandre Dumoulin, 12 Wesley Fofana, 11 Brice Dulin, 10 Frederic Michalak, 9 Morgan Parra, 8 Louis Picamoles, 7 Bernard le Roux, 6 Thierry Dusautoir(主将), 5 Yoann Maestri, 4 Pascal Pape, 3 Rabah Slimani, 2 Guilhem Guirado, 1 Eddy Ben Arous

〔控えメンバー〕
16 Dimitri Szarzewski, 17 Vincent Debaty, 18 Nicolas Mas, 19 Damien Chouly, 20 Yannick Nyanga, 21 Rory Kockott, 22 Remi Tales, 23 Mathieu Bastareaud

PICK UP